ニュース

「もっと早く知りたかった」DVで妻を失った夫の涙。DV加害者を“治す”方法がある

加害者の改善で夫婦仲が良くなることも

――反対に、改善が認められた場合は、夫婦仲も修復される方が多い? 栗原:加害者側の改善が認められた段階で、被害者側には会ってもらうようにしているんです。その頃には、加害者側の顔が変わっています。眉間の皺がなくなり、目つきが変わり、笑顔が溢れ、表情が穏やかになっている。それを一目見た被害者側は「別人のように変わった」と言うことが多いです。今まで怯えていたのに「そばにいて癒される」というんです。不思議ですよね。 ――影響が出ていた子供たちはどうなりますか? 栗原:かんしゃくや発達障害が治るケースが多いです。夫婦関係が良くなることで、家族みんなの状態が改善されます。

DVの「ゆでたまごの法則」

DV

※画像はイメージです

――ステップがあることで、「別れる」以外にも選択肢が増えるわけですね。 栗原:行政は、DVがあると「別れろ」一択です。しかし、妻は夫を愛していて、子供も、親とは離れたくないと泣きます。一度、被害者側から聞いたのは「別れなければ子供は返さない」と、無理矢理別れさせられた、と。しかし、無理矢理引き裂いたところで、「本当は別れたくなかった」と、こっそり戻って付き合ってしまう。その方は今でも仲良くお付き合いを続けています。行政だってつけ回して監視することはできませんから、表面上の措置には意味がありません。 ――DV被害者に相談をされたら、どんなアドバイスをすれば良いですか? 栗原:1人で抱え込まないこと。互助会などに参加したりして、自分の気持ちを話すことは大事です。また、身体的な暴力がある場合は警察には相談しておき、何かあったときにはすぐに駆けつけてもらえるようにしましょう。  それから、これは私がよく被害者に伝えているのですが、「ゆでたまごの法則」を頭に入れておいてほしいなと思います。卵はよく茹でて真ん中で切ると、白身と黄身が綺麗に別れますよね。この白身が加害者、黄身が被害者です。何か暴言を吐かれても、このゆで卵のようにしっかり境界を作り、自分の中には入れないことが大事です。  例えば「お前は人間失格だ!」と言われても、「私はそうじゃない」と聞き流し、決して自分の中に入れないでください。相手に言い返せなくても、自分の中で唱えるだけで良いです。こういった言葉を自分の中に受け入れてしまうと、白身と黄身の境界がなくなり、スクランブルエッグのように混ざりあってしまいます。自分の中で「NO」と、境界を持つ。その「NO」が通用しなくなったら、警察介入など、次の段階になります。
次のページ
取材を終えて「本当の意味で前に進むために」
1
2
3
4
5
おすすめ記事
ハッシュタグ