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「もっと早く知りたかった」DVで妻を失った夫の涙。DV加害者を“治す”方法がある

取材を終えて「本当の意味で前に進むために」

ステップ

yuzukaさんと栗原理事長

 DV被害者への支援をはじめたきっかけについて、幼少期の頃のお話をしてくださった栗原さん。毎晩起こる家庭内暴力に怯え、家族と畑に逃げ込みながら、「こんな目に遭う女性を助ける活動をするのだ」と、その頃から強く胸に誓っていたそうだ。幼い少女の目標は実現し、ステップでの活動は、現在も多くの被害者たちの希望となっている。  実際にステップのプログラムによって夫婦の関係を修復できた被害者の方に、栗原さんが言われたという言葉が心に残っている。「これでやっと、“元被害者”になれました」。加害者がいる限り、被害者はいつまでも被害者のままである。加害者が更生してやっと、被害者は“元被害者”となり、本当の意味で前に進めるのかもしれない。 「別れればいい」と、傍観者は簡単に口にするが、実際に行動に移せる人が、どれだけいるのだろうか。別れるでもなく、逃げるでもなく、もう一度向き合うことができるのなら。その選択肢に救われる被害者は多いように感じた。  次回は、ステップの加害者更生プログラムを経て、実際に家族関係を修復するに至った中島さん(仮名)にお話を聞いた。そこで浮かび上がったのは、切ない暴力の連鎖による加害者側の苦悩だった。 <TEXT/yuzuka> 【栗原加代美】 1946年、旧満州生まれ。共立女子大学英文科卒。2001年、神奈川県にDV被害者保護シェルター開設。2011年、「選択理論」を用いてDV加害者更生プログラム開始。NPO法人女性・人権支援センターステップ理事長。日本選択理論心理学会会員。2013年に国際ソロプチミスト社会貢献賞、2021年に社会貢献者表彰を授与される
エッセイスト。精神科・美容外科の元看護師でもある。著書に『埋まらないよ、そんな男じゃ。モノクロな世界は「誰かのための人生」を終わらせることで動きだす。』『君なら、越えられる。涙が止まらない、こんなどうしようもない夜も』など。Twitter:@yuzuka_tecpizza
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