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「動かないポルシェが450万円に」ビッグモーター事件の意外な影響を中古車買取専門店に聞く

自殺した車、事故車でも買い取るワケ

 いわくつきの⾞に特化するメリットは何かあったのだろうか。 「そもそもあとは⾃宅に放置してホコリをかぶっているような不動⾞を買い取るのには⼿間がすごくかかります。だから⼤⼿はまずやらない。でも、なかには『⼿間やお⾦をかけなくていいならあげるよ』というお客さんもいて、そういうお宅に我々の営業マンが⾏って、⾞を買い取ってきます。JAFと同じクラスのレッカー⾞を持っているので、それで⾞を運んだりして、⼿続きも全てこちらで⾏ったりしています。完全にぶつかっていて、フロントガラスが割れて、⾞軸がずれてて、⾃⾛できない。修理にも100万円弱かかる⾞は分解してバラ売りします。そういうケースでもエンジンは⽣きているので、そのパーツだけほしいという海外のバイヤーさんに買ってもらいます」  過去買い取った⾞の中で最も利幅があった⾞を聞くと、「私の場合は不動⾞の100万円ポルシェを直して売ったら、450万円になったことがあります」と回答。

100万円の「動かないポルシェ」が驚きの価格に

宮崎源太朗さん

株式会社RC財務最⾼責任者兼執⾏役員の宮崎源太朗さん

「稀少⾞だったので修理して販売しました。電話がかかってきて倉庫奥でポルシェが眠っていると聞いて、その段階でクラシックの珍しいものだとすぐにわかったので、⾃分の予定を全て部下にまるっと投げて、⾶んで査定に⾏きました。バッテリーを繋いでも動かない不動⾞でしたが、さすが空冷のポルシェだけあって部品の価値としてでも当時100万円ほど。それはお客様もご存知でしたので、部品価値として100万円で仕⼊れて、その先は半分賭けでしたが提携⼯場で直しながらカビだらけの内外装を磨いたらピカピカになり、中古⾞オークションの名⾞コーナーで価格が跳ね上がりました。 ⼀台で400万円ほどの利益は今でも伝説です(笑)」  最後に、⽬利きの買い取り店の⾒分け⽅を聞いた。 「なんだかんだ⼤⼿が安⼼というのがあったんですが、今回のビックモーターさんの件でそれもわからなくなりました。今、⼀番いいのは必ず実⾞を⾒て査定をするところです。電話だけで査定して相場よりも⾼い⾦額を⾔われても、あとで細かい傷だったり、へこみが出てきたりして、ガンガン買い取り額を下げられるケースがあります。ざっくりと⾦額を知りたいという気持ちはわかりますが、電話だけの査定は結果として⾦額も変わりがちなので実⾞査定がオススメです。私も過去に『ちょっとぶつけてタイヤがパンクしてる⾞』と⾔われたのですが、よくよく話を聞いてみると、フロントをぶつけていてエアバッグも出ていました。最終的には我々も⾒て判断しなきゃいけないんです(笑)」 <取材・文/シルバー井荻>
平成生まれのライター、編集者。ファミマ、ワークマンマニア。「日刊SPA!」「bizSPA!フレッシュ」などの媒体で執筆しています
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