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中村ゆり、アイドルから俳優になって20年。「孤独に生きてきた、市子のような人に寄り添いたい」

2003年の俳優業開始から、20周年の記念イヤーだった中村ゆりさん(41歳)。2007年に公開された映画『パッチギ! LOVE&PEACE』でのヒロイン役に始まり、近年も映画『窓辺にて』、ドラマ『ただ離婚してないだけ』などで深い印象を残しています。
中村ゆりさん

中村ゆりさん

でも中村さん自身は、「演じること自体は、そんなに好きではない」のだとか。それでも20年も演じる場にいる理由のひとつが「人に気づいてもらえない、見つけてもらえない、孤独や寂しさの中にいる境遇の人に寄り添えるような作品に出会える事がやり甲斐になる」から。まさにそのことを実現した、現在公開中の出演映画『市子』への強い思いも聞きました。

アイドルから俳優へ。ここなら自分もいていいと思えた

――今年は俳優活動開始から20周年でした。その前に歌手をされていた時期(1998~1999)もありましたが、俳優業で再スタートされました。演じることへの興味があったからでしょうか。 中村ゆり(以下、中村):正直に言ってしまうと、演じること自体は、そんなに好きではないんです。 ――そうなんですか? 中村:こうして今も俳優というお仕事を続けているのは、俳優として初期のお仕事だった映画『パッチギ! LOVE&PEACE』での出会いが大きかったからです。 私は10代でアイドルデビューしたのが始まりだったので、音楽といっても技術もなければ歌唱力があるわけでもありませんでした。そして、自分よりもっと努力している人がいることも分かっていました。そのことを自分の中で思い知りながら頑張っていた10代でした。 映画に携わるようになってから、自分もそのチームの一員になる事で、ここなら努力をすれば、勉強すれば、私も少しずつやれるようになれるかもしれないと思えたんです。
『市子』川辺なつみ役/中村ゆり

『市子』では、市子の母・川辺なつみを演じた

日の当たらない場所にいる人に光をあてたい

――『パッチギ! LOVE&PEACE』での出会いというのは。 中村:そのときのプロデューサーさんが「日の当たらない場所にいる人に、光をあてたい。そういう映画を作りたい」とお話されていたんです。その言葉がものすごく鮮烈に残っていて、そういう使命を持ちながら仕事をしていくのは、なんて素晴らしいんだろうと感動しました。そこから、もちろん楽しい作品にも出演しますけど、「自分もそうした作品に関わりたい」とずっと思っているんです。
『市子』場面写真(メイン)

『市子』より、主演の杉咲花

――今のお話で言うと、最新作の『市子』はまさに。 中村:はい。市子のような、世の中に見つけてもらえない子、孤独の中に生きている子どもというのは、世の中にたくさんいると思います。自分の携わった作品が少しでもそんな人たちに寄り添えていたらという思いで『市子』にも取り組みました。
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演じること自体は苦しい作業が多い
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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