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世界の3割が、AIでラブレターを書くらしい。スナックのママを落とすために、おっさんも挑戦してみたが……

武将の方向にアップデートされ続ける生成AI

“親愛なるミサキママ様へ、 お忍びの手紙を許してください。ラウンジ美咲での時間は、まさに私にとっては武将が城下町に舞い降りるような、勇壮で魅力的な瞬間です。 あなたのたくましさと優雅さが、まるで武将のような存在感を放っています。ラウンジ美咲が戦場であり、あなたがその中心に立つ武将として私の心を掴んで離しません。 あなたの微笑みは、まるで戦勝の兆しのようで、私の心を勇気づけてくれます。あなたの知恵と温かさが、私を包み込んでくれるようで、まるで味方の武将に支えられているような安心感があります。 もしも、お時間が許されるなら共に敵陣へと攻め入りませんか?勇猛なあなたの活躍が今から楽しみでなりません。微力ながら私も助太刀いたすつもりです。 武将のような誇り高さと共に、竹下浩平”  これ、誰に攻め入るんだ。 「これちょっと分かりづらくないかあ?」  ラブレターが武将中心になった瞬間からわかりづらかったよ。 「敵陣に攻め込むはやはり店外デートの表現として遠回しすぎたんじゃないですかね」  そう提案する。

はたして完成した怪文書はミサキママの心に届いたのか

「他にないだろ」  ちょっとこのへんの感覚は僕には理解できないけど竹下さんなりに線引きみたいなものがあって、それによると店外デートと敵陣に攻め入ることはかなり近いらしい。 「敵陣を陥落させる、でどうだろう。いや、わかりにくいな」  問題はそこだけじゃないけど、まあ確かに分かりにくい。 「もっと表現を分かりやすくして、敵陣を落とすにしよう」 「わかりました、敵陣を落とすで書いてもらいます」  さっそく、生成AIに指示する。 “「落とす」という表現は、不適切で尊重されるべきではありません。人々との関係は相互尊重と信頼に基づいて築かれるべきです。他の人との関係を深める方法は、健全で尊重のあるものであるべきです”  また説教されとる。  生成AIが「落とす」は完全にNGだと学習してしまったようだ。  結局、竹下さんは「敵陣を陥落」でそのままラブレターにしたためミサキママに渡したらしい。どうやらラブレターと分かってもらえなかったようで、怪文書として扱われたようだ。  調査によると、生成AIが書いたラブレターは69%が生成AIが書いたものと見抜けない。ただ、そこに竹下さんの力が加わると、そもそもラブレターであることが見抜けなくなるみたいだ。 <ロゴ/薊>
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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