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人気漫画「ちいかわ」が“SNSでバズりまくる”意外な理由。「漫画家の権利問題」変革にも期待

漫画家の権利が保障されていない状況を変えてほしい

 そこで、下世話な私は想像してしまう。ナガノは、一体どれぐらいのお金を得ることになるのだろう? ちいかわはSNS発信であり、大手出版社の力はまったく借りずに、ヒット作品を生み出している。  DIY精神によって生まれたちいかわは、出版物やアニメ化のロイヤリティーにおいて、従来の作品とはまったく違う契約内容になるべきだ。私は「できればナガノに今までに前例がないくらいの大きなお金が支払われてほしい」と思う。  メディア企業の力を借りずに自力で世に出てきた「ちいかわ」が、欧米に比べて格段に作家の権利が保障されていないという日本の状況を変えるきっかけに、少しでもなってほしい。先日起こった、漫画のドラマ化における不幸な出来事も、根本的にはそうした日本のエンターテイメント業界の構造が原因になっていると私は思う。

子供の声優を起用しているのも英断

 最後に、ちいかわのアニメーションについて少し書いてみたい。アニメ制作会社「動画工房」の作った、このアニメーションは非常に出来が良い。ちいかわとハチワレという、いわば主役の2人(2匹?)の声優を、子供に任せているのが英断だと感じた。  特にハチワレは、登場人物(?)の中で、数少ない言葉をちゃんと話すことができるキャラクターであり、通常ストーリーを視聴者に伝える役目は彼が担っていて、声優を務める田中誠人くんの好演が作品の土台となっている。彼は、オープニングソング「ひとりごつ」も歌っていて、大変歌もうまい。  それにしても、「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」に続いて「ちいかわ」と、強力な女流コメディ漫画家作品を連続で引き当てるとは。フジテレビの面目躍如といったところだろうか。
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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