更新日:2024年05月02日 20:10
お金

「客室平均単価」が3年で3倍にも…“荒稼ぎするホテル業界”が稼ぎ時のGWを手放しで歓迎できないワケ

「宿泊施設のアルバイト求人数」は2倍に膨らむ

 ただし、手放しには喜べない事情があります。深刻な人手不足です。急速な需要回復に、多くの宿泊施設は十分な人員の確保がしきれていません。  データ分析サービスを提供するナウキャストは、宿泊産業の求人動向について調査を行っています(「「HRog賃金Now」で見る宿泊業の賃金・求人動向および賃金上昇と宿泊料の関係について」)。雇用形態別求人数指数の推移において、2017年2月13日の週を100とした場合、2024年2月1日の正社員の求人指数は130を超えています。アルバイトに至っては200近辺で高止まりしているのです。
求人数指数の推移

求人数指数の推移 ※ナウキャスト「「HRog賃金Now」で見る宿泊業の賃金・求人動向および賃金上昇と宿泊料の関係について」

 賃金指数においては、正社員が同期間で1.15倍、アルバイトが1.25倍程度まで伸びたことを示しています。特にアルバイトの数が足りておらず、多くの宿泊施設で時給を上げて人員獲得に動いている様子がわかります。  ホテルや旅館などの宿泊施設は、繁忙期と閑散期の差が激しいうえ、24時間対応する必要があるために人材が集まりづらく、慢性的な人手不足に陥っていました。しかもオペレーションは複雑で、ファミリーレストランのように配膳ロボットの導入で生産性を上げられる業界でもありません。おもてなしの心も重視され、一定の教育も必要な業界です。  ゴールデンウィーク中の宿泊費が高騰するなか、人手不足や教育不足でサービスの質が低下すれば、ブランドに傷がつくのは間違いないでしょう。今年の連休はホテル業界にとって願ってもいない稼ぎのチャンスである一方、試練を迎える時期でもあります。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ