ロードサイドに強い「あみやき亭」。“いきなり!ステーキの後釜”が次なる一手か
経済本や決算書を読み漁ることが趣味のマネーライター・山口伸です。『日刊SPA!』では「かゆい所に手が届く」ような企業分析記事を担当しています。さて、今回は株式会社あみやき亭の業績について紹介したいと思います。
同社は焼肉店「あみやき亭」を中心に、肉業態の店舗を展開しており、黒毛和牛のカルビが5切れで600~700円台とリーズナブルな価格が特徴的。それにしても、国産牛を安く提供できる秘訣はどこにあるのでしょうか? 同社の戦略と今後の方針についてまとめてみました。
同社は24年3月期末時点で286店舗を展開し、そのうち173店舗を展開する焼肉事業と53店舗を展開する焼鳥事業を主力としています。焼肉事業では「あみやき亭」や「どんどん」などを手がけ、焼鳥事業では「元祖やきとり屋 美濃路」などを運営。なかでも社名と同じ「あみやき亭」は90店舗展開しており、同社のメインブランドの一つです。
「あみやき亭」は、中部地方では特に高い知名度を有していて、国産牛を安く提供する店舗として知られています。報道によると8割以上が国産牛であり、店内にもその日に提供する牛肉の産地が記載されています。メニューを見てみると「黒毛和牛 特選カルビ」が5切れで税込748円、同じく「黒毛和牛 上カルビ」が税込638円であるなど、確かに国産牛としてはコスパに優れた価格と言えます。また、税込3,000円、4,000円、5,000円とランクごとの食べ放題コースも提供しています(※中部地方のメニュー)。
牛肉に関して消費者の国産へのこだわり、信頼感は根強く、国産牛を安く食べられる点が人気の理由といえます。
ここで少し株式会社あみやき亭の歴史を振り返ってみましょう。同社は意外と新しく、1995年に設立し愛知県に「あみやき亭」1号店を出店しました。2000年には10号店を開店、焼鳥業態1号店も出店し、2002年には東証二部に上場しました。翌2003年にはあみやき亭として30号店を開店、2005年には東証一部に鞍替えし、2007年に関東進出を果たしています。
関東での展開を強化すべく2009年には日本ハム傘下の(株)スエヒロレストランシステムを子会社化。2011年にあみやき亭業態として100号店目を開店しました。原則として全店直営で展開し、現在では中部地方と関東郊外のロードサイドを中心に出店しています。
ちなみに「焼肉きんぐ」を展開する物語コーポレーションも同業態自体は石川県に1号店をオープンしていますが、愛知地盤の企業です。コメダ珈琲店も同じく名古屋発祥。車社会の愛知県からはロードサイドに強みを持つ飲食チェーンがいくつも現れていることがわかります。
あみやき亭業態としては現在、愛知県に60店舗が存在し、東京・神奈川・埼玉でそれぞれ4・2・2店舗を展開しています。
中部地盤で、国産牛がウリのチェーン
「あみやき亭」1号店は1995年にオープン
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ