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無印良品の「買ってはいけない靴と買うべき靴」。お買い得もあれば難ありも

改善点が多い「革の端材シリーズ」

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「疲れにくい 革の端材を再利用した プレーントゥ」、8990円。写真は公式HPより

一方で眉をひそめてしまうのが、「革の端材を再利用した プレーントゥ」、8990円。無印のこちらのレザースニーカーも、よく売れています。クラシックなアッパーのデザインと、スニーカーの底をバランスよく合体させ、ビジカジにはもってこい。無印の靴の中では比較的高価ですが、革靴に比べれば安いとばかりに手に取る方も多いでしょう。 実際この靴をジャケットスタイルに合わせて履いている方をよく見かけます。「革の端材を再利用した」というネーミングもまたエコに聞こえます。しかし、店頭で実物を手に取ってみるとゾワっとした違和感があります。 原因は、表から見える本体がまるごと「合成皮革」(以下、「合皮」)だからです。合皮は天然革とはちがって独特の味が出ることもなく、経年劣化します。もちろんキズがついても直りません。ネーミングの「革の端材」はいったいどこに使われているのか? タグには「表材・合成皮革、裏材・革の端材」と書かれていました。 しかし、このネーミングはちょっと意地悪ではないでしょうか。要は「合成皮革のスニーカー」です。合皮のスニーカーなら、8000円でもちょっと高い。事実、ナイキやアディダスであれば合皮は5000円くらいから手に入ります。 やはり「革」というのはパワーワードなのでしょう。表材が天然革のスニーカーなら今の時代、2万円前後はします。革のクオリティで差もありますが、キズやシミがついてもクリームを塗り続けるうちに新品の時より高級な感じが出てくるのが天然革。このネーミングは「カニとカニかま」くらいの差があります。肝心の表の素材が合成皮革と知った消費者はがっかりするはず。 もう少し突っ込んで指摘すると、「裏材(靴の中)」に使っているのも、タグを見ると「革の端材」ではなく、「再生革」と書かれています。この再生革というのがやっかいです。 革と再生革はまったくの別物。製品にならない革をミキサーで粉にして、樹脂でくっつけてシート状にしたものが「再生革」で、たしかに原材料は革ですが、革ならではの通気性・伸縮性・強靭性は、何層にも重なった組織があればこそ。つまり「革」と文字では表しているものの、性質上は合皮と同じ。蒸れるので、靴の中に使うものではありません。
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日本皮革産業連合会のHPより

実は2024年の3月にJIS規格が改定されて、革をパウダーにしたものを原料とした製品は「再生革」と名乗れなくなりました。消費者が混同するからです。 ただし罰則もなく、メーカーも順次表記改定に追われている状況なので、無印に悪意があるとは断言できません。しかし、ネーミングだけはせめて「環境に配慮した革風スニーカー」くらいにしたほうが良心的かと思います。私のように早とちりをする消費者にとっては、ブランドイメージの失墜につながりかねません。
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さらに心配な「レースアップシューズ」
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こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ

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