更新日:2024年07月04日 15:43
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JRが“リニア開業”より“夜行列車の復活”を優先すべき理由「廃止が相次いだ当時と状況が大きく異なる」

ヨーロッパで夜行列車の需要が回復している理由

 さて、なぜヨーロッパで夜行列車が復活しているのか。それは環境面への配慮からだ。環境面を理由として移動手段を選択するというのは日本ではまだあまり馴染みのない考え方だろう。  しかし、特に欧州においてはカーボンニュートラルの観点から飛行機やバスは忌避されるようになってきている。フランスにおいては、2時間半以内の飛行機移動が禁止にされるなど、日本とは比べ物にならないほど環境に配慮する意識が高い。  フランスでは飛行機に乗ること(=環境破壊に加担すること)を恥とし、鉄道など他の移動手段をすすめることを指す「flight shame」という単語すらあるほどだ。  そんな中で鉄道はエコな乗り物として認知されている。実際に鉄道によって排出される二酸化炭素(CO2)は飛行機の5分の1以下となっている。  日本で夜行列車の運行が増えれば、国内各地のアクセシビリティの向上だけでなく、環境面での優位性からも外国人訪問者が移動手段として選択する可能性は非常に高いのだ。

「走るホテル」が観光大国ニッポンの加速につながる

 ここまでの説明で、夜行列車が復活することは、増え続けるインバウンド需要に応えるだけでなく、観光大国ニッポンの大きな経済効果につながることがおわかりいただけただろう。     仮に夜行列車が復活すれば、インバウンド自体が今よりも好循環でまわることも考えられる。まず夜行列車が「走るホテル」となることでホテルの供給不足の解消に貢献するだろう。  また、滞在日数を伸ばす外国人訪問者も増えるのではないだろうか。夜行列車を利用すれば、期間は伸びなくても時間を有効に活用できるため、滞在中に落としてくれるお金も増えるだろう。  さらには滞在都市が分散化することによって、都市部のオーバーツーリズム解消にもつながり、今よりも広範なエリアがインバウンドの恩恵を受けることにもなりえる。  つまり、夜行列車の復活は、現状のインバウンドが抱えている課題に応えるだけでなく、正の外部性をもたらすことがおわかりいただけるだろう。  とはいえ、ヨーロッパで夜行列車が復活しているという事実をもって日本でも同様の改革を行うことはそう簡単ではない。フランスのように日本では飛行機利用の法規制がなく、また日本人には脱炭素への興味や意識がヨーロッパほど醸成されていないのが現状だ。こうした課題を克服することが求められるだろう。
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JRが動かなければ、他業種が参入するのもアリ
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EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している

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