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日本が「宇宙予算へと政府資金を投入すべき」理由。10年間で1兆円でも足りない

日本はもっと宇宙予算へと政府資金を投入すべき

写真はイメージです

1980年代以降、日本の宇宙予算は、おおよそNASAの1/10、かつアメリカの場合ほぼNASAと同額を安全保障分野でも支出しているので、予算総額では1/20という状態が続いてきた。 補助金額で比較しても、スペースXが、アメリカ主導の有人月面着陸計画「アルテミス」の月着陸機「Human Landing System(HLS)」の開発で受け取る補助金はそれだけで35億ドルである。宇宙戦略基金の第1期分の総額を軽く超えるのだ。 日本の宇宙開発は、この絶望的に大きな政府投資の差をひっくり返さねばならない。 「ここまで差があると、ひっくり返すのは無理だ」という意見も出てくるだろう。が、まずひっくり返す意志を持たないことには、そもそも追いつくことすら覚束ない。1955年以来、日本の宇宙開発は「追いつけ追い越せ」で走ってきた。1990年頃、一瞬追いついたかに見えた時期があった。が、2024年の現在、また「追いつき追い越せ」で走らねばならない状況にある。 ではどうしたらいいのか。

「火星に人類文化のバックアップを作る」というイーロン・マスクの野望

彼を知り己を知れば百戦殆からず――は孫子の兵法だが、まず2002年の起業から20年余りで世界の宇宙開発を根本からひっくり返すまでになったスペースXがどのような企業かを理解する必要がある。 スペースXは普通に考えるような営利企業ではない。 同社のトップに立つイーロン・マスクは経営者ではなく預言者だ。別の言い方をすれば「狂気の人」である。彼には彼にしか見えない確たるビジョンがあり、そのビジョンを実現する手段がスペースXなのである。 火星に人類文明のバックアップを作る――火星植民が彼の目標である。「狂っている」と思われるかもしれないが、スペースXは確実にこの目標に向かって動いている。
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スペースXを駆り立てているのは“狂気”だ
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ノンフィクション・ライター。宇宙作家クラブ会員。1962年東京都出身。日経BP社記者を経て2000年に独立。航空宇宙分野、メカニカル・エンジニアリング、パソコン、通信・放送分野などで執筆活動を行っている。『飛べ!「はやぶさ」 小惑星探査機60億キロ奇跡の大冒険』(学研プラス, 2011年)、『はやぶさ2の真実 どうなる日本の宇宙探査』(講談社新書, 2014年)、『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』(日経BP, 2017年)など著書多数。

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なぜ日本では「スペースX」が生まれないのか

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