では、指摘されているように、司会をもっと音楽に詳しくしゃべりの上手い人にしたり、構成を変えたりすれば、みんな『with MUSIC』を見るようになるのでしょうか? 筆者にはそう思えません。
というのも、日本と同じ様に大きな音楽市場を有するアメリカやイギリスでさえ、音楽番組は衰退しているからです。これは産業のサイクルとして、抗えない流れなのではないでしょうか?
アメリカではその兆しが10年前にあらわれていました。平均視聴者数3000万だった人気オーディション番組『アメリカン・アイドル』が、2014年5月6日の放送では700万に激減。そして全盛時には12.6を誇った視聴率も、1.7と衝撃の数字を叩き出してしまったのです。
そしてここでも音楽番組がコア視聴率を稼げないことが明らかになります。平均視聴年齢が32歳だったものが、2014年時には52歳に。これは全く新規の若い客を獲得できていないことを意味します。(The New York Times 2014年5月11日)
2002年の放送開始からいまも続く長寿番組ではありますが、年々影響力は低下。近年ではケリー・クラークソンやキャリー・アンダーウッドのようなスターを輩出することもなくなりました。
若年層のテレビ離れと、音楽を提供するプラットフォームが多様化したことによる、複合的な要因だと考えられています。