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20年前に330万円だった「ホンダNSX」は現在858万円〜。中古車は“投資対象”となり得るのか?

使って楽しむことを前提とした場合

NSX

走行距離6万キロ、修復歴なし、ATのNSXは2005年当時総額330万円で買えた

 私は、クルマも腕時計も「使いたい」という気持ちがあるわけですが、特にクルマの場合、使わないと痛むため、「日常的に使用する」ということが重要だと思います。  私の年間走行距離は、ざっと2万キロ程度と、都内に住んでいる人間としては、かなり多めだといえます。ただ、NSXを持ち続けていたとしても、NSXだけに乗るわけではないため、NSXの想定年間走行距離は1万キロ程度だといえます。  私は、2005年に約6万キロでNSXを購入したわけですが、それから今に至るまで19年乗り続けていたならば、その個体は今頃約25万キロに達していることになります。  冒頭では、2005年に私が買ったのと“同じ条件”で現在のNSX相場を見たわけですが、19年乗ったならばその距離は約25万キロ。6万キロと25万キロのNSXでは価値が全く異なります。  ただ、それでもNSXの価値は2005年と2024年現在とでは、大きく異なるため、走行距離が25万キロといってもそれなりの価値があるといえます。  私が調査した買取価格(業者オークション取引相場)では、25万キロ程度のNSX(AT)は350万円~450万円といったところ。  仮に高いほうの「450万円」を例とした場合、ざっくり100万円高く売れるということになります。  しかしながら、100万円という額では、クルマの維持費を考えた場合「余裕」があまりありません。  どこまでを維持費に計上するかにもよりますが、駐車場代までを含んだならば、都内の2万円程度の月極駐車場を借りた場合、4年程度で100万円を消費してしまいます。  ただ、駐車場代はどんなクルマに乗ってもかかる部分ですので、『クルマに乗る』限り、絶対にかかってしまう経費だといえます。それと同様に、ガソリン代や車両保険代、車検に必要な費用も「必要経費」だといえるでしょう。  NSXの場合、スーパーカー的キャラクターでありながら、排気量が3.0L(AT車)のため、税金は驚くほど高いというわけでもありません。そのため、自動車税も通常のクルマとさほど変わらないため、そこまでを「必要経費」として良いと思います。  そうなると、残るは整備代。つまり、約19年、19万キロという所有期間の中でNSXに対する整備代が100万円かかるか否か。それが、「金銭的に“得”となるか否か」の分かれ目だといえるのです。

20万キロ程度の維持費は100万円で済むか?

 NSXはスーパーカーといったキャラクターながら、特殊な機構が使われているわけではないといえます。もちろん、ボディはフルアルミのスペシャル仕様ですが、それは消耗品ではありません。  例えば、メルセデス・ベンツの場合、AMGの7ATは特別な仕立てとなっており、通常の整備工場には部品が出ず、安価なオーバーホールができないという難点があります。ですから、そういった車両の場合、なにかあったら「1発で100万円の整備代」という可能性があるわけですが、NSXの場合、そうなる確率は低いといえます。  ただ、20万キロ近くも乗るとなると、ショックアブソーバーといった足回り部品などを替える必要があるでしょうし、タイミングベルトだって2回交換する必要があります。そういった各パーツをきちんと交換した場合、100万円という予算では「ギリギリ」となるかもしれません。  また、NSXの場合、エアコンパネルがよく壊れ、温度調節が効かなくなるのですが、その部分の修理代はそれなり高値だった記憶があります。  整備するポイントや部品代は、通常の国産車とそこまで大きく変わらないといえるNSXでありますが、19年19万キロ分の必要整備、及びウィークポイントのちょっとした修理をしたならば、値上がりした分の100万円を使い切ってしまう可能性があるといえます。
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投資としてクルマを捉えた場合
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう


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