お金

20年前に330万円だった「ホンダNSX」は現在858万円〜。中古車は“投資対象”となり得るのか?

投資としてクルマを捉えた場合

NSX

2024年現在では、修復歴なし7万キロ以下のNSXを買おうとした場合800万円以上の予算が必要

 1年1万キロ使う前提では、走行距離が増え価値が下がると同時に、整備代もかさみます。ならば、「乗らなかった」らどうなるのか。ここからは、乗らずに保管しておいた想定をしたいと思います。  走行距離6万キロ、修復歴なしという条件のNSXは、現在、買取価格で700万円以上という金額を余裕に狙えるといえます。私が19年前に330万円で買っていますから、仮に買取額を700万円とした場合でも「370万円ほど高く売れる」ということになります。  ただ、乗らずに保管するという場合では、保管場所の費用を考えなくてはなりません。私が調べたところ、四方が壁に囲まれているという好条件の車庫でも探せば月2万円で借りられる物件があります。  そうなると、約19年に渡って乗らないNSXのための駐車場を借りた場合、370万円という値上がり額を下回るのでしょうか。  2万円の駐車場を228ヶ月借りたときの金額を計算すると456万円となります。同じ条件のNSXの上昇額は、19年で370万円と高額ですが、月2万円の駐車場に保管していた場合86万円の赤字となります。  この場合の計算だと、「乗って楽しんだほうが“精神的には遥かに得”」となるかと思います。  もちろん、家に保管場所があるという方は、駐車場代はかからないでしょう。ただ、それでも「乗らずに保管しておく」ということには、違うマイナス面があります。

長期保管は、愛車を“痛ませ続ける”結果にも

 クルマは、乗らずに長期保管すると、どっかしらが傷んでしまうのです。  青空駐車で炎天下にさらされ続けていたならば、10年後には塗装はだめになっていることだと思いますし、サビも発生するかもしれません。  また、屋内保管なら大丈夫と思いきや、湿度をきちんと管理しないと、内装がカビだらけになってしまうかもしれません。  つまり、乗らない状態で長期保管するとクルマが痛む可能性が大きいため、クルマ好きという観点では「痛む愛車」を自らが生み出してしまうということになりかねません。  クルマは、乗らないと「痛む」。その一方、乗ったら「距離がかさむ」ため、価値が下がってしまうというある種の矛盾を抱えています。腕時計の場合、使っても「走行距離」のような概念がないため、価値に大きな影響を及ぼさないのですが、クルマを“普通に使ってしまう”と自動的に価値が下がってしまうわけです。  つまり、クルマの場合「乗って⇒金銭的な得をする」という難易度はかなり高く、今回のNSXのような結構な値上がり事例でも「利益を出すのは至難の技」といえるのです。  ただ、クルマの「値上がり事例」がまったくないわけではありません。私の知っている人は、新車で日産スカイラインGT-R(R34)を購入して、車庫に眠らせていますが、その価値は今や2000万円程度(修復歴なし、走行距離1万キロ程度の推定買取価格)であります。34GT-Rの新車価格は600万円程度。仮に新車で総額700万円だったとしても、『1300万円の値上がり』となるわけです。これぐらいの上昇幅があると余裕が生まれるため、維持費を含めても利益が出る可能性があるでしょう。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

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