親から「塾に任せるので宿題はナシにしてほしい」小学校で広がる子どもの“夏休み格差”
“夏休み格差”という言葉をご存知だろうか。夏休み中、“子どもが体験する機会”に格差が生じることを意味する。普段は学校で過ごしている時間が夏休み中は各家庭に委ねられるため、収入による格差が生まれやすい。特に経済的に苦しい状況にある家庭では、子どもに体験の機会を作ることが後回しになりがちだ。大人の間で広がる格差が、子どもたちにも影響しつつあるのだ。
「昔は『夏休みの宿題が終わらない』とよく言われましたが、今はそんなもの都市伝説です」
昨今では中学受験熱がヒートアップしており、大手進学塾の席を確保するために、子どもが年長の頃から塾に通わせる家庭もあるそうだ。塾では夏休みにも宿題が出て、特に小学4年生以上からは増えてくるのだという。
「塾から出される宿題は『都道府県を全て覚えてきてください』など、小学校のものとは全く違います。夏休み明けにクラス分けのテストがあり、中学年以上にとって夏休みではなく夏勉強です」
塾のクラス分けに関係ない小学校の宿題は、親にとっても子どもにとっても邪魔。「宿題を出さないでほしい」という訴えが、親たちから出された小学校もあったらしい。
「その小学校は、塾に任せるからと宿題を撤廃しました。先生にとっても採点をしなくて済むから楽ですし。他にも宿題は自由研究だけ、プリント2枚だけ、タブレットで自主学習など、個人の裁量に委ねる小学校も増えてきています」
塾通いをしている子どもと親、学校の先生にとってはありがたい話ではあるが、塾に行かせてない親からは不平の声も上がる。
「それでは格差が広がってしまうと言うんです。しかし、こう言っては何ですが、収入が多い親たちの方が、子どもの教育に熱心な人が多いから、学校に対しても色々と言ってくるんですよ。彼らは地元の名士だったり、PTAに積極的に参加してくれたりします。どうしても学校側と距離が近い方の意見を聞かざるを得ないんです」
筆者(綾部まと)は、メガバンクでの法人営業時代に地方自治体を担当した。そこで多くの子ども達が直面する現実について、自治体の担当から教えてもらってきた。今回はそんな夏休み格差について紹介していく。
また、ここでご紹介するのは一部の地域の話である。全ての小学校がそうではないことを、あらかじめお断りしておく。
「塾に任せるので宿題を撤廃」広がる学力の格差
塾に行かせてない親からは、不平の声が上がるが……
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ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother
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