更新日:2024年09月21日 19:00
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“3本足の女優”が前向きに生き続ける理由。妊娠中の子どもを亡くした悲しみとともに

一緒に移動してくれる人が誰もいない

 いじめではなく、一緒に遊んでいるだけ。そう思い込もうとしても、ふとしたときに現実を直視する。 「中学校の専科の授業は、教室移動があるじゃないですか。そのとき、私と一緒に移動してくれる人が誰もいないんですよ。一人で松葉杖をついて、時間をかけて移動するしかない。結局、戯れていたのではなくて、いじめられていたんだなって認めるしかないですよね」  その辛さに向き合う日々に疲れ果て、愛澤さんは不登校になった。 「最初は元気に『いってきまーす』って家を出るんですが、ある地点までくると身体が進まないんですよね。教室移動の授業がある日、『もう休もう』と決めました。家族は、特に『行きなさい』とは言わなかったですね」

「養護学校への進学」が転機に

 結局、中学校2年生の途中から不登校になり、健康面に課題を抱える子どもたちを多く入院させている病院の院内学級で中学校卒業を迎えたという。高校以降の進路についても、かなり頭を悩ませた。 「普通の高校への進学は諦めていました。定時制高校に進学しようかとも思いましたが、中学校時代の先生から肢体不自由を伴う生徒が多く在籍している養護学校への進学を勧められました。正直に言うと、最初はかなり戸惑いました。自分が障害者だという事実と向き合うことを、避けていたんだと思います」  だが愛澤さんは入学し、この選択を「正解でした」と心底からの笑顔で語る。尊い出会いがあったからだ。 「高校で『ヘレン・ケラー』のお芝居をする機会があったんです。主役のヘレン・ケラーをやらないかと担任から打診されたときは、絶対に無理だと思いました。それまで精神状態が閉じこもりがちだったこともあって、人前に立つなんて恐れ多いと思ったんです。それに、私はセリフを暗記するのが苦手だったんです」
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健常者に生まれ変わったら…と思っていたが
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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