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「右手がないことが理由ならまだ納得」“義手のギタリスト”がオーディション落選時に直面した“解せない理由”

 東京パラリンピックの閉会式で圧巻のギターパフォーマンスを魅せたLisa13さんには、右手がない。世界的な舞台に立ったことにより、“義手のギタリスト”としてこれまで以上に広く認知された。今回は、Lisa13さんの目を通して見る世の中にスポットを当て、話を聞いた。
Lisa13さん

Lisa13さん

右手がなくて苦労したことは?

――飽きるほど聞かれたと思いますが、ご自身の右手について伺えますか。 Lisa13:自分に右手がないことは保育園に入ったあたりから気づいていたのですが、それで苦労したことって、皆さんが想像するよりもだいぶ少ないんです。「どうして右手がないの?」と聞いてきた同級生はいますが、「生まれつきだから仕方ないの」と答えると、「ふーん」って。ただ、深刻なイジメにつながる経験はありませんでした。どうして右手がないのかはわからなくて、生まれるときに臍帯が絡みついてうまく栄養がいかなかったからだと聞いたことはあります。ただ、原因がわかってもどうしようもないので(笑)。

「生まれつき」の意味を知らないうちから…

Lisa13さん――Lisa13さんというと、そのライトな語り口と家族仲の良さが印象的です。 Lisa13:ひとりっ子で両親と仲が良いからか、確かに家族みんな考え方が似ているかもしれません。以前、テレビ局の取材を家族で受けたとき、「娘さんの障害を知ってショックでしたか?」というような質問を受けて、両親とも軽い感じで答えていて、ちょっとインタビューがやりづらそうでした(笑)。先ほどの保育園のときのエピソードも、「右手のことを聞かれたら『生まれつき』って言っておきなさい!」って両親から指示されていたんです。答えている私自身も「生まれつきってどういう意味なんだ」と思っていましたからね。
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中学時代、両親が教師に怒った出来事
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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