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「産んだことを後悔している」両親から虐待を受け続けた女性の半生。現在は「加害者を気にしている時間などない」

 その女性は先天的に手足の指の一部を欠損して生まれた。それだけでなく、唇が裂けて生まれる口唇裂も患っていたという。現在はカウンセラーとしても活動するmanaさん(@kokoronokizucom)、44歳だ。    先天的な障害を理由に実の両親からの虐待を受けた女性の生涯を追う。
manaさん

manaさん

「腰椎が変形していた」原因は……

   manaさんは東京都に生まれた。まだmanaさんには記憶もないころの話を、祖母からは繰り返し語られたのだという。   「聞いているのは、父が私の母方の祖母に私の障害について報告した際、『それなら医者に頼んで殺してもらいなさい』と言われたらしいんです。さすがの父もそれはできないということで、実行はしなかったようですが」   “さすがの父”は、こんな人物だ。   「3歳前後から8歳まで継続的に続いたことですが、父が私の脚をもって無理矢理開脚してきたことがありました。そして、上からのしかかって、身体を上下させてきたのです。当時は、もちろんそれが何を意味するのかまったくわかりませんでした。ちなみに後年、私の腰椎が変形していることがわかりました。おそらく、幼い頃の父のこの行為が原因ではないかと私は思うのです。また、母が私を養育する気がまったくなかったため、風呂に入れるなどはもっぱら父の役目でした。そこで、父は幼い私の身体を“洗う”という大義のもと、不必要に触れてきたんです。そればかりか、一度、挿入行為があったようにも記憶しています。かなりの痛みで私は泣きましたが、シャワーの音でかき消されてしまいました」

日常的に「産んだことを後悔している」と言っていた

 
manaさん

manaさんの両手

 父親の所業には思わず顔をしかめたくなるが、母親の子育てもまた常軌を逸している。   「母は日常的に『産んだことを後悔している』と言っていました。障害を持つ私は母にとって恥ずかしい存在であり、隠さなければいけない子どもでした。したがって、公園などに連れて行ってもらったことはありません。殴るなどの暴力は当たり前で、手をアイロンで焼かれるなども経験しました」    幼少期から、manaさんは両親に隷属することで生き延びてきたのだと話す。したがって、両親の決定に異議を申し立てることなど皆無だった。   「母親が近所の目を気にする人だったので、地元の小学校には行かせられないという判断のもと、私立小学校へ進学しました。しかしそこでイジメに遭ってしまいました。見た目が異形である私の言うことは信頼されず、勝手に『manaさんがこう言っていました』などといろんなことを吹聴され、居場所がなくなってしまったんです。そこで、中高一貫の私立中学を受験して入学しました」  
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母に加え、教師からも冷たい扱いを受ける
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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