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藤井聡太、超早指し棋戦で見せた“終盤の決断力”。3連覇へ向けて一歩前進

終盤の“激しい攻め合い”が好き

佐々木七段

持ち時間10分で持ち時間を使い切ったら一手30秒未満、考慮時間1分×5回の超早指しで行われる本棋戦。振り駒の結果、藤井の先手に決まった。 過去の両者の対局では、相掛かりが8局、角換わりが3局、横歩取りが2局。対局前日のインタビューで、好きな戦法や作戦について訊かれた藤井は「角換わりが好きです。終盤、激しい攻め合いになりやすい戦型ですが、私自身、そういう戦いが好きなので好んで指しています」と語ったが、本局はその角換わりとなった。序盤の研究に余念がない両者、ほとんどノータイムで指し手が進み、形勢互角のまま両者が持ち時間を使い切り、終盤戦へと進んだ。

「考えすぎずに決断よく」

将棋で最もエキサイティングなのは終盤だ。特に持ち時間の短い対局の場合、観ているほうの胸も高鳴るような指し手の応酬が延々と繰り広げられる。 「自分は決断が悪いタイプなので、『考えすぎずに決断よく』ということは早指しの対局では特に意識してます。その一方で急所の局面では立ち止まって読みを入れるというのは大事だと考えています」と対局前日に藤井が語るとおり、秒読みに追われながらもジッと盤上を見つめながら読みを入れている姿は迫力たっぷりだ。対して佐々木七段も闘志十分。「心理的なプレッシャーに打ち勝つことが大事だと考えてます。玉が詰む詰まないという局面で弱気な手を指すことで、ズルズルいってしまうことは避けたいです」と、運の要素が少ない完全情報ゲームの将棋において、心理戦の重要度を口にしていたことが印象的だった。 両者の好手がぶつかり合うギリギリの終盤戦の末、129手で藤井が勝利。
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投了図 129手目▲4二銀不成まで
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