ニュース

“日本一家賃が安い町”のアパートは空室だらけ…それなりに栄えていても人の気配がない“ちぐはぐさ”の理由

賃料のインパクトの反面、昔からの店は存続している

[企業が捨てた街]の悲惨なその後

杵築市周辺の地図

 ただ、昔から市に住んでいた人にとっては「影響はさほどなかった」とも語る。 「バブルの頃と比較するから急激に衰退したように見えますが、瞬間的に人口が増えただけ。バブル当時に造られたアパートに空室が増え、一部の飲食店は潰れましたが、以前からある店はそのままです。リーマン・ショック時の報道と、賃料の安いアパートが悪目立ちしているのかもしれません」

一次産業や観光産業があり、工場に依存していなかった

[企業が捨てた街]の悲惨なその後

アムコー・テクノロジー・ジャパンが入っていた工場跡。周囲に人や車の気配はなく、草だらけで荒れ果てていた

 今の市の状況を行政はどう捉えているのか。杵築市役所の職員にも話を聞いた。 「キヤノンの従業員減少やアムコーの撤退の影響は少なからずありましたが、市の存続が危ぶまれる、というほどではありません。杵築市はハウスみかん栽培などの一次産業や、杵築城や武家屋敷を活用した観光産業なども盛んなので、大きな工場だけに依存していなかった点が幸いしたかなと」  杵築市のように複数の産業を持つことが、ゴーストタウン化を食い止める一手なのかもしれない。 取材・文/週刊SPA!編集部
1
2
おすすめ記事