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嘉門タツオ(65)「粗品よりもひどかった」30代を振り返る。八代亜紀、桑田佳祐、中島みゆき…大御所の名曲を“笑いのネタ”に

替え唄をハモってくれたチャゲ

替え唄をハモってくれた人も――総じて昔の大御所の人たちは寛容な印象があります。   CHAGE&ASKAの『SAY YES』で「♪何度も言うよ~君は確かに金を借りている~はよ返せ~千円~」っていうのがあるんですけど、僕がチャゲさんのラジオにでたとき、チャゲさんはハモってくれましたよ。 ――そういった替え唄はすべて先方の許可を取った上で発表されているんですよね。 そうです。ちゃんと順を踏んで筋を通しているので、むしろ好意的に対峙してくれるのはありがたいです。 ――許可をもらう段階で断られたケースもありましたか? それはご本人の意向だったり事務所の意向だったり、まちまちです。体感的に昔は6:4でオーケーだったのが、今は4:6といったところでしょうか。今は配信だったりメディアも複雑化しているので、CDはいいけど映像はダメとか、ケースバイケースです。

味の素、アデランス…企業ソングの替え唄も

――やりづらくはないですか。 嘉門:いや、そこはもう時代に合わせてやるだけですから。逆にライブとかで「これはNGだったんですけど」という形で唄うことはできますので。「もういいや」とはならないですね。 ――「♪カツオ風味のふんどし~」は味の素さんから許可をもらってるわけですよね。 嘉門:企業さんの場合はもう当時の担当者さんの立ち位置とか発言力とか、いろいろな奇跡が重なった結果です(笑)。「♪閉まってま~す、田舎のローソン」のときは「うちは田舎でも開いております」って言われましたし。完全に向こうの言い分が正しいので、ライブでしか唄いません(笑)。 ――個人的には「♪私の私の彼は~アデランス~」が狂気じみていて好きです。 嘉門:“歌が途中で変わるシリーズ”ですね。アデランスさんはひょっとしたらうやむやだったかもしれないなぁ……。なかには「だしてまえ!」ってだしたけど何も言って来なかった、というパターンもあるんですよ。 ――そう考えると「不寛容」と言われる今の時代、替え唄って「寛容」の象徴なのではないかと思えてきました。 嘉門:中島みゆきさんは全部ご本人がチェックされるんですね。『空と君とのあいだに』の替え唄で「♪鼻~と耳との間には~今日~もモミアゲ生えている~」はオッケーでした(笑)。
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替え唄も時代に合わせてやればいい
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株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter

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