お金

人気FPが伝えたい「いちばん大切なお金の守り方」。タイパ思考だと“基本的な知識”を得られない

正しい判断をするためには「基礎的な知識」が必要

私は、一番大切なお金の守り方は、「情報を正しく見ること」だと思っています。最近ではテレビや新聞、書籍などではなくSNSで情報を得る人がとても増えました。むしろ今はSNSやYouTubeが主流になっているでしょう。 いずれのSNSが好みかは人それぞれですが、私はお金に関する情報は「基本的な知識」を持っているからこそ、その情報の真贋を見抜けると思っています。SNSの情報に優劣をつけたり、あるいは情報を有益に活用するためには、基本的な知識がなければダメなのです。 例えばSNSで「絶対に儲かる!」といった宣伝を見ると、最初は「本当かな?」と思いつつ、それっぽい解説を見るうちに「本当に儲かるかも!」などと気が乗ってきてしまう……。そんな誘導方法によって、投資詐欺のような案件に引っかかる人が後を絶ちません。 そうならないためには、自分の判断基準にできる「基本的な知識」が必要なのです。基本的な知識とは、言い換えれば、金融における「セオリー」です。先ほど述べた、住宅ローンと金利変動の基礎的なメカニズムもそう。その知識を持っていれば、いずれ家を買うタイミングが来たとしても、偏った情報に惑わされず、その時折の金利情報を見て正しい判断ができるはずです。

お金の知識は「タイパ」で考えてはいけない

SNSを完全には否定しません。しかし、SNSは一次情報を得るには適していますが、深掘りしたり、一次情報を取り巻く環境などを知ることには、あまり適していないと思います。深掘りするなり、取り巻く環境を広く知る場合には、新聞やニュース、専門誌・紙などのオールドメディアの活用も考えるべきでしょう。 そしてもう一つ私が伝えたいのは、金融領域に関しては「タイパ思考を持ってはいけない」ということです。お金の基本は、タイパを求める行動ではほぼ知識の習得がままならないと、私は考えています。 幸いにして、パソコンやスマホからでもお金の「基本的な知識」を習得することは可能です。ちょっと時間がかかりますが、少しガマンして投資や資産運用に関する本を1冊ガマンして読んでみてもよいはずです。 そうして得られた知識はお金周り全般だけでなく、あなたの仕事を含めた生活全般のどこかで役立つはずです。数年前から「格差」が折に触れて叫ばれますが、筆者は今の格差は「知っているか、知らないか」の情報の格差だと思います。 あなたがとるお金周り全般の行動は、成功しようが、失敗しようが「すべて自己責任」で済まされてしまいます。あなたの大切なお金を、SNSで推奨される銘柄に投じるだけで簡単に(楽して)増やせるとは思わないでください。ビキナーズラックはありえるでしょうが、それがずっと続くことはないのです。 <構成/上野智(まてい社)>
ファイナンシャルリサーチ代表。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。その後、1996年に独立し、現在の有限会社ファイナンシャルリサーチは2社目の起業。FP業界歴35年(2024年10月現在)を誇り、そのキャリアを通じて日本経済の浮沈を見守ってきた。メディア出演やセミナーを通じて、資産運用や住宅ローン、生命保険、税金、年金など幅広く「お金の知識」を発信している
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