更新日:2025年01月14日 14:55
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オフィスの窓から飛び降りて、障がいを負った33歳女性が語った「壮絶半生」と「今、伝えたいこと」

オフィスの3階から走り出すように飛び降りた

腰のレントゲン写真

10箇所以上粉砕骨折した腰のレントゲン写真。大きなプレートとボルトが埋め込まれていた

 そんな状態で働き続けていた23歳のある日、涼音さん自身も思いもよらぬできごとが起きた。 「正直、記憶はかなり朧気なんです。たしか、夕方から夜にかけての時間帯。1人で会社で作業してたら、いつものように幻聴に襲われて。  背後から複数の声で『死ね!』と聴こえて、頭のなかは『逃げなきゃ!』ってだけでした。それで3階のオフィスの窓から、まるで走り出すような形で飛んだみたいです。  そんな飛び降り方だったから、地面への着地は足から。両足のかかとは骨が飛び出る開放骨折で、かかとじゃ体重を支えきれなかったから、次に地面についた腰も10箇所以上、粉砕骨折してました」  この記憶のあとに涼音さんが意識を取り戻したのは、すでに処置が終わった病院のベッドの上。ショックのあまり、どこまでが自身の記憶で、どこからが医師から告げられた事実かは定かでないという。

「退院したら死のう」と本気で思っていた

遠山涼音さんが制作した人形①「かかとや腰よりも、折れた骨が太ももの大動脈に刺さった大量出血のほうがヤバかったようで、目が覚めると輸血処置をされてました。全身も固定されていて、最初は『え、ここって異世界? 宇宙人に監禁でもされてる?』なんて思っちゃって。  でも、ちょっと体を動かそうとしただけで走る激痛で、『あ、私。飛び降りたんだ』ってジワジワ実感していって。痛みで首の向きひとつ変えられないレベルでした」  この騒動を、周囲の人たちや涼音さん自身はどう受け止めたのか。 「両親はもともと放任主義なんですが、私が精神を患っているのは知っていた。ショックだったとは思うんですけど、『これ以上は悪いことはないから。こういう転機は人生にはある。きっとこれからいいことあるよ』と前向きな言葉をかけてくれたのをよく覚えています。  私自身は、もう辛い思いをしてまで会社にいかなくていいんだって安堵はありつつ、医者からは『最悪、一生寝たきり』と言われたときの絶望感は大きかった。処置してくださった方や家族にも失礼だとは思いつつ、『退院したら死のう』って本気で思ってました」
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杖を歩く生活になっても「人形制作に支障はない」
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