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グーグルマップの“低評価”に悩むスーパー。犯人と思しき50代男性に直接「口コミをやめてください」と懇願した結果…

面と向かって「口コミをやめてください」と…

 肝心の男性客は以前と変わらないペースで来店し、塚本さんと談笑することもあった。ニコニコしながら体調を気遣ってくれたり、むしろ親切で優しい人だと塚本さんは思うようになっていったという。しかし、一人が書いていることを発見した学生アルバイトの子は違ったようだ。 「その子だけは確信していたんです。絶対にそうですよ、と。高校生の頃から働いてくれていたので、店に対する愛情も強かったんだと思います。私は半分諦めていたのですが、その子はどうしても口コミ投稿をやめさせたかったみたいで」  その学生は塚本さんが予想していなかった行動をとった。男性客が来店し、レジで会計をしているときだ。学生はしっかりとした口調でこう言った。 「口コミ書いてますよね。やめてください」  言われた男性客はアルバイトの女性の態度に憤怒したが、学生は構わず続けた。 「お願いします。口コミをやめてください。お願いです、やめてください。お願いします」

口コミは書かれなくなった

 必死の訴えだったという。その声は店内中に響き渡り、バックヤードにいた塚本さんの元にも聞こえてきた。 「すぐに行って、やめさせました。お客様は怒っている様子ではなく、困惑しているように見えました。私もです。感情を表に出す子ではないと思っていたのですが、そのときはすぐにでも泣き出しそうな表情で、それを見て、私もつられて泣きそうになりました」  塚本さんは学生をその場から下げ、男性客に対しひとり深々と頭を下げた。 「そのお客様が口コミを書いていたかはわかりません。違う可能性もあります。でも、口コミは書かれなくなったんです。情けないことに、店長の私じゃなく、アルバイトのその子が店を救ってくれたんですよ」  塚本さんはそう言って、その日で一番明るい笑顔を見せてくれた。 <TEXT/山田ぱんつ>
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