それは、その日の翌日。詩織さんの仕事が休みだったため、ストレスの発散にと奮発してホテルの朝食へ出かけたときのこと。なんと、急な出張で旗当番を代わってもらったはずのK夫とK妻が、優雅にホテルの朝食ビュッフェを楽しんでいたのだ。 「旗持ちのあと、その時間にホテルの朝食を食べることは不可能。すぐに、出張の電話が嘘だと気づきました。そして、ほかの欠席についても嘘の可能性が高いとピンときたんです。ひとまずスマホで写真を撮り、K家族の情報をコッソリ集めることにしました」 　ほかの保護者たちからも話を聞き出していくうち、K家族のズルは次々と発覚する。問い詰めたところアッサリと謝罪があり、「このことは、誰にも言わないでほしい」というK夫からの要望と引き換えに、卒業まで役員仕事をキッチリやってもらったという詩織さん。 「情報収集のときに衝撃的だったのは、K妻が、『男の人が役員の集まりへ行くと、まわりのママたちがやさしくなるからラク。だから、ウチはパパに行ってもらう』と発言していたという話を耳にしたことです。真偽はわかりませんが、いまでも思い出すと気分が悪いです」 　残念なことに世の中には、K家族のように、まわりからの配慮や親切心を利用して他人の時間や労力を詐取しようとする人たちが一定数存在する。「それなら自分も」と考えてしまいがちだが、気持ちのよい社会を目指し、誠実さや思いやりを持って生活したいものだ。 ＜TEXT／夏川夏実＞
ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Xアカウント：@natukawanatumi5