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“村の掟に翻弄される”深川麻衣が「芸能界の独自ルール」を語る。「中にいると気付きづらいですよね…」

入ってきた夫婦、村側、どちらかを完全な悪にしない映画

村人だけを悪にしない

(C) 2024映画「嗤う蟲」製作委員会

――村人との距離感が変わっていくにしたがって、夫婦の関係も変化していきます。どういったことを感じましたか? 深川:本編のふたりで言うと、杏奈が村人を怪しんだり困っているのに、輝道が話を聞いてくれなくて、そういうところから関係にヒビが入っていきますよね。 杏奈が怒って話しながらお米を研いでいるところがあるのですが、輝道は「大丈夫だよ」と聞く耳を持ってくれなくて。そうしてコミニュケーションのずれから積み重なっていった杏奈のストレスはすごく理解できました。 ――村の人々の距離感はどう感じましたか? 独特でしたが。 深川:パーソナルスペースってありますよね。関係性ができてからならウェルカムですけど、「初めまして」に近いのに急に入られ過ぎるのは、私も杏奈と同じで苦手かもしれません。ただ、監督が杏奈と輝道を善人にはしたくないとおっしゃっていた通り、見る人によってはどちらの気持ちも分かるんです。 たとえば杏奈は、お隣さんがおすそ分けしてくれたカボチャの煮物を捨ててしまいます(もともと杏奈はカボチャが苦手)。その前に怖い出来事もあったので、「仕方ない」という見方もあると思いますが、「捨てることはないじゃん。輝道に食べてもらえばいいじゃん」と思う人もいると思います。どちらかを完全な悪にしていないのが、この映画の好きなところです。 ――公開中ですが、改めてひとことお願いします。 深川:純粋にエンタメとして、このあと、どうなるか分からないというゾワゾワ感みたいなものを楽しんでもらえる映画になっていると思います。怖いのが苦手な方にも気軽な気持ちで観に来ていただけたら嬉しいです。

上京して感じた地元ならではのコト

上京して感じたこと――杏奈と輝道は都会から地方へ移住しますが、深川さんは静岡県から上京しました。東京に出てきたからこそ気づいた、「あれって地元ならではだったんだ」と感じたコト、モノはありますか? 深川:なんでしょう。全てが違い過ぎて。専門学校は名古屋だったんですけど、名古屋に出たときは、言葉も割と似ていましたが、東京に出てきたときには方言について感じました。指摘されて、何年も経ってから初めて「え、これって方言なの?」と。特にイントネーション。「半袖」のイントネーションとか。 ――分かります。私は長野県出身ですが、静岡と長野は共通した方言が割とあります。「半袖」も同じです。いまだにどちらのアクセントが標準語で方言なのか、分かりません。 深川:そうですよね! 長野は近いんですね。嬉しいです。私もいまも分からないです(笑)。あと、上京当時は、電車の本数の多さに驚きましたし、なにからなにまで刺激的でした。渋谷とか、「うわー、すごい!」って。SHIBUYA109のビルも初めて見たときは感動して写真を撮りました。 それから、地元ならではというと、お魚やお茶が美味しいことは外せません。東京だとどうしても美味しいお刺身はお値段も高くなってきますが、静岡だと安くて美味しい。緑茶も美味しいです!
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芸能界ならではの独自ルール
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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『嗤う蟲』は全国公開中
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