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お米の高騰に苦しむ人々の悲鳴。主食を麺に替えたり、サツマイモを混ぜる家庭も…フードバンクではおかずよりコメを求める人が増

遭遇した孤独死の共通点は「冷蔵庫に食べ物が皆無」

激震[貧困家庭の米騒動]

昨年夏の米騒動ではパニック買いでスーパーの棚が空になった

 シングルマザーはさらに厳しい状況だ。中学生から保育園児まで5人の子どもを育てる四国在住の久田奈美さん(仮名・32歳)の手取りは約180万円。  昼は便利屋に勤め、夜は運転代行をやって生計を立てている。これまで1か月で40㎏のコメを消費していたが、現在は買えなくなり、25~30㎏に抑えている。 「物価高に支払いが追いつかず、今月ついに電気が止まりました。子ども食堂の利用を増やしたり、うどんや焼きそばを多用したりしてなんとかしのいでいます。肉類は高くて買えないので、安い冷凍ハンバーグを砕いてひき肉にして使っています。この状況が続くのは絶望しかないです」
激震[貧困家庭の米騒動]

「フードバンクはだの」ではおかずよりコメを求める人が増えたという

 近年、困窮世帯のための食料支援として、フードバンクや子ども食堂が普及しているが、ここでもコメ不足が顕著だ。神奈川県秦野市に3つの拠点を持つ「フードバンクはだの」の担当者は言う。 「いつも毎月150~300㎏のコメを用意していますが、2月は10日時点でわずか30㎏しかなく、在庫も切れそう。これまではコメはあるけどおかずが買えない人が多かったのですが、今はコメを調達しに来る人が増えました」
激震[貧困家庭の米騒動]

「フードバンクはだの」

 利用者は学生、シングルマザー、年金受給者が多いという。食材やガソリン、光熱費の高騰に加え、米価が上がったことでトドメを刺された感があると言う。 「この4年間で3件の孤独死に遭遇しました。共通していたのは、冷蔵庫に食べ物がまったくないこと。国が思い切った対策をしなければ、現状を変えられません」

特盛りを提供する学生街の食堂は

激震[貧困家庭の米騒動]

高木さんの店ではコメの仕入れ値が約1.5倍になった

 昨年夏の米騒動ではあまり影響を受けなかった業務用のコメにも異変が。都内の飲食店「讃岐のおうどん花は咲く」の店主・高木さんは話す。 「昨夏まで10㎏3500円で仕入れていたコメが今は5200円に。他食材の値段も上がり、月の支払いが10万~20万円も増えました。770円の天丼をやむなく850円にしたけど、それでも税理士から、『原価率をもう少し下げられませんか?』と経営を心配されるほど。品質は落としたくないから、ギリギリのところでやっています」
激震[貧困家庭の米騒動]

学生街の牛めし店では赤字覚悟で提供を続けている

 一方、早稲田大学の学生らが多く訪れる三品食堂は、米価の高騰により定番の牛めしを20円値上げし、660円にした。店主の北上さんが言う。 「コロナ禍以降、物価がおかしくなっちゃっているよね。肉や卵、野菜に加えてコメまで上がった。仕方なくここ3年で3回も値上げした。こんなのは60年で初めてだよ。それでも値上げが追いつかず、赤字ギリギリ。客は学生なので量を減らすわけにはいかない。牛めしの並でコメは200g、特大は600gくらい使う。コメの量は3倍だけど、値段は3倍にできないでしょ。今は我慢して、コメ価格が安定するのを待つしかないよ」  人々を苦しめる令和の米騒動は、いったいいつになったら落ち着くのか。 激震[貧困家庭の米騒動]

【東京都区部の消費者物価指数】

•コメ:166.3 •パン:124 •麺類:121 ※’20年を100とした場合、’24年末時点 取材・文・撮影/週刊SPA!編集部 写真/時事通信社
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