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「不安で眠れません」逮捕に怯えるオンラインカジノ利用者…なぜ今になって摘発ラッシュが?

日本人の2.8%が“オンカジ”利用との推計も

 また、日本にオンラインカジノがここまで普及したきっかけについて、国際カジノ研究所所長の木曽崇氏は次のように語る。 「コロナ禍でオンライン購買が増加したうえ、その少し前から世界のオンラインカジノ業者が日本を重点市場として進出し始めていたことから、不運にも需給が一致してしまったんです。昨年、弊社で国内の男女6000人を対象に行った『間近1年にオンラインカジノで賭けを行ったことがある』という調査では、約346万人、総人口の2.8%に相当すると推計されました。潜在人口はもっといるはずです」  特に大きかったのが、メディアの影響だという。 「オンラインカジノの広告がテレビや新聞、雑誌、SNSなど至るところで掲載され、しかも広告塔には有名人も起用されていました。もちろん違法性の認知などまったくなされないままに、です」

「政治的要請」と「逮捕の手段」が揃って逮捕ラッシュに

[オンカジ逮捕者続出!]の真相

大阪IRの建設予定地・夢洲。「IRと競合しうるオンカジは排除したい政府の思惑もある」(木曽氏)

 海外のサイトであっても、日本からアクセスして賭けを行えば賭博罪に問われる。 「’16年に一度摘発があったものの不起訴処分となり、それ以降は警察も二の足を踏んでいました。その後、山口県阿武町のコロナ給付金誤送金事件で改めて問題視され、依存症の問題や近年は闇バイトのきっかけにもなると危険性が指摘されていました。そこで’24年7月、公明党が『オンラインカジノ問題』の対策強化を提言。この政治的要請を受けて取り締まりが急速に進行したわけです」  この「政治的要請」と、前述のように決済代行業者から芋づる式にユーザーをたどる「逮捕の手段」が揃ったことで、今回の摘発ラッシュに至ったのだ。  とはいえ、現行法では対策にも限界があると、木曽氏はいう。 「いっそオンラインカジノを合法と認め、制度的に管理しながら経済活動の一部として活用するほうが建設的だと個人的には考えています」  見解はさまざまだが、現時点では違法と周知されたオンラインカジノ。今後も逮捕リスクは高まりそうだ。 【国際カジノ研究所所長・木曽 崇氏】 ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒。日本で数少ないカジノの専門研究家。著書に『日本版カジノのすべて』(日本実業出版社) 取材・文/週刊SPA!編集部 写真/産経新聞社
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