資産10億円のFIRE投資家が警鐘。“転売屋”と“本当の投資家”との違い
東京23区の中古ワンルームマンション中心に不動産投資を展開。現在、38戸の物件を所有し、資産額10億円、年間家賃収入4000万円の個人投資家・村野博基氏。村野氏は「世の中で投資家と名乗っている人の多くは “悪玉菌”。転売屋と一緒」と言い切ります。そして、悪玉な投資が増えるとバブルにつながるのだとか。村野氏が本当の投資家である「善玉菌」を目指す方法について指南します。
「投資家」という職業を聞くとみなさんはどのようなイメージを持っているでしょうか? 汗水たらして働かず儲けている人たち、インサイダー情報等を手に入れ抜け穴を見つけてハックしている人たち、徹底的な利益至上主義でお金にがめつい人たちといったイメージではないでしょうか。詐欺罪で逮捕された自称投資家もよくニュースになりますから、一般的に投資家のイメージが悪いのは無理もないことだと思っています。
自分自身も「投資家」ではありますが……。投資家は例えるならば、世の中に対する「菌」や「寄生虫」のような存在だと考えています。そもそも「投資家」はお金である「資本」は持っていますが、それ単体では何も生み出していません。世の中全体で経済活動が行われ、物を買ったりサービスを受けたり提供する過程で、金銭のやり取りが生まれ、「価値」が生まれます。それらの活動に対して、「資本」を蓑にして乗っかっているのが「投資家」なのです。つまり世の中で経済活動が行われなければ、投資家は存在することができない、いわば世の中という宿主に寄生している「菌」のようなものだろうと考えているのです。
菌にも「善玉菌」と「悪玉菌」がいます。乳酸菌やビフィズス菌に代表される善玉菌は腸内環境を整えて、人の体にとって良い働きをしてくれます。悪玉菌は食中毒の原因となる大腸菌やウェルシュ菌などです。悪玉菌が増えすぎるとお腹の調子は悪くなり、免疫力も下がり、老いやガンの原因に繋がっていきます。誰しも胃腸には悪玉菌が居ますが、増え過ぎると健康を害してしまうのです。
株式投資や為替市場でのFX取引などはゼロサムゲームです。誰かが株を買ったとしたら、その反対側では必ず売った人がいます。儲けた人がいるならばその裏には必ず損をした人がいるもの。「安く買って高く売る」が投資の基本とよく言われていますが「将来、値上がりするかもしれない……」と思って、売却差益の「キャピタルゲイン」を狙う行為は基本的に転売と変わりません。あくまで「安く買って高く売る」は“商売”の基本であり投資行為ではないのです。敢えて、このようなキャピタルゲインを狙う行為を「投資」というならば、これらは「悪玉菌」の投資家です。
悪玉菌である「キャピタルゲインを目指す投資」が蔓延ると……。行き着く先は「バブル」です。日本では80年代後半から90年代前半に起きた株と不動産の異常な上昇が「バブル景気」として知られています。誰しもが「もっと価格が上がるかも知れない……」と思って投資すると、実体経済とかけ離れたところでいつかバブルは弾けます。その後、日本経済は失われた30年とも呼ぶ長い低迷期に入ってしまいました。
日本では不動産バブルの苦い記憶もあるからこそ、「投資の利益は不労所得で、お金は額に汗を流して稼ぐもの」という考え方が強くなってしまったように思います。株式投資でもインサイダー情報紛いの情報を流布したり、SNS等で「買い煽り」をする行為が垣間見られますが、これらは全て“自分だけが良ければイイ”「悪玉菌」の投資家のすること。そういった投資家が嫌われるのは自明の理であると私は思っています。
投資家は世の中に対する「菌」や「寄生虫」
「悪玉菌」の投資家とは?
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1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち16区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)
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