更新日:2025年03月15日 15:07
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若者の“宝くじ離れ”が進む一方で…「当選確率はゼロに近い」のに一発逆転を狙う”氷河期世代”の悲哀

成りあがりストーリーは、もはや絵空事…

 岩手銀行によると、NISAの口座総数のうちで10~20代の割合はおよそ10%。30代は17%でした(「利用者数や年代別の平均買付額は?」)。宝くじよりも若者が積極的に投資信託や株式投資に参加をしているのです。若者は特につみたてNISAの比率が高く、堅実に資産運用する様子が伺えます。  氷河期世代は一発逆転思考が強く、何者かになりたいという強烈な想いにとらわれている人が少なくありません。これには文化的な背景もあり、90年代は「カメレオン」や「疾風伝説 特攻の拓」など、冴えない主人公がひょんなことから成りあがるマンガが大ヒットしました。一発逆転する様を描く「賭博黙示録カイジ」の連載が開始したのも1996年でした。  最近ヒットしたマンガに「東京卍リベンジャーズ」があります。これも典型的なヤンキーの成りあがりマンガですが、主人公は26歳のフリーターで、2005年にタイムリープするという内容。氷河期世代が現実と重ねていた成りあがりストーリーは、今や日常とは隔絶されたあり得ない世界のエンタメとして消費されているのです。  一発逆転や成りあがり思考が強い氷河期世代は、非正規社員の比率が高いという別の問題も抱えています。総務省「労働力調査」によると、45~54歳における非正規雇用比率は7%。25~34歳は4%でした。なお、1988年の45~54歳の非正規雇用比率は4%です。  氷河期世代は特に不本意な非正規比率が高いとされており、政府はキャリアアップ助成金や、地域就職氷河期世代支援加速化交付金などによって支援を継続してきました。しかし、この世代のひきこもりの人数が突出していることからも、そもそも地道な努力を重ねてキャリアアップをするという思考が弱く、将来を諦めている人が少なくありません。  

「1000万分の1」確率はどのくらい?

 宝くじは年収の低い人が好んで買うことで知られています。インターネット関連事業を手がけるトイントによると、宝くじを購入する年収で比率が最も高かったのは年収が299万円までの人で、全体のおよそ6割を占めています。1000万円以上の人はわずか1%。  宝くじは夢を買うと言われていますが、その通りでバレンタインジャンボ宝くじの1等当選確率は1000万分の1。  麻雀で、配牌時にすでにテンパイしており、第一ツモであがる役満に「天和(テンホウ)」があります。最難関の役満としてよく知られていますが、この確率が33万分の1。ゴルフのホールインワンの確率が3万3000分の1。ボウリングですべてストライクを出すパーフェクトゲームを出す確率が上級者で200分の1と言われています。  1000万分の1という確率はゼロに近いのです。
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貴重な生活費を削り、貧困が加速
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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