ライフ

ラブホにハマったきっかけは「不倫カップルの撮影」…“ラブホ1000部屋”を巡った女性が「“昭和ラブホ”に人生をかけたワケ」

ラブホテルにあった回転ベッドを引き取る

 ノスタルジックな昭和ラブホへの想いが募り、それが頂点に達した那部さんは、ある行動に出る。それは、廃業したラブホテルにあった回転ベッドを引き取り、自宅に置くというものだった
回転ベット

那部さんが引き取った赤の回転ベッド

——那部さんは回転ベッドを自宅に引き取ったとのことですが、そのいきさつや裏話などを教えてください。 那部:尊敬する写真家が、解体前の「川崎迎賓館」の内装を名古屋まで運び、それをスタジオの一部にしました。ちょっと大げさな言い方すると、臓器移植みたいな感じじゃないですか。こういうかたちで、ラブホテルの片鱗でも残すのはいいなと思っていました。 そんなとき、都内にある老舗の有名ラブホテル「シャトーすがも」が閉業すると知りました。そこには私の好きな色である赤の回転ベッドがあったのです。オーナーに連絡を取り、そのベッドをどうされるのですかと聞いたら、ビルもろとも解体するとのこと。 居ても立っても居られない気持ちで、引き取らせていただけませんかとお願いしたところ、オーナーは快諾してくれました。 引き取る日の前日に分解しておき、当日は運送会社の作業員2人がベッドがある3階から地上に下ろし、トラックに積み込みました。ところがそのベッドは、あまりにもサイズが大きすぎて、一般の民家に入れることは困難だったのです。それで、別の業者に頼んで、ベランダから入れて上の階に持ち上げてもらい、何とか自分の部屋に収めることができました。

完全に自室に収まるまで約1年

 那部さんによれば、シャトーすがもからの搬出から始まって、自室に収まるまでに、途中何もしなかった期間も含め約1年かかったという。そのあと、阿佐ヶ谷のイベントスペース「Loft」で、この一連の流れを発表するイベントを主催し、多くの人が詰めかけた。  今も那部さんのラブホテル愛は止まることはなく、暇を見つけてはあちこちのホテルを巡っているそうだ。 取材・文/鈴木拓也 【那部亜弓】 千葉県在住。大学在学中、親の死をきっかけに廃墟に目覚める。2015年頃より写真家の活動を開始。2018年から廃墟だけでなく現役ラブホテルの撮影も始める。現在はトークイベント、写真展、ホテル見学会、カップルの出張撮影を実施するなど、昭和のラブホテルの魅力を伝えるべく様々な活動を行なっている。最新の著作は、写真集『HOTEL目白エンペラー』(東京キララ社)。 X:@aisiyon
ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki
1
2
3
おすすめ記事