全国380軒のラブホテルを巡った女性写真家が教える「一生に一度は行くべきラブホテル10選」
昭和の豪華なラブホテルが大好きで、津々浦々のラブホテルを巡っている那部亜弓(なべあゆみ)さん。
前回の記事では、ラブホテルが好きになったいきさつや、閉業したホテルの回転ベッドを引き取った話などを聞いた。今回は、那部さんがおすすめのホテルや、ホテルで経験した興味深いエピソードをうかがった。
——これまで約380軒ものラブホテルを訪れたなかで、カップルにおすすめしたいところをいくつか教えてください。まず北の雪国だと、どんなところがあるでしょうか?
那部亜弓さん(以下、那部):昭和のラブホテルは、内装によってジャンル分けできます。例えば、殿様が出てきそうな荘厳な和室だったり、UFOや宇宙空間だったり。ちなみに、欧州への憧れが人一倍強い私がもっとも好きなジャンルは王朝タイプです。
まず、青森県の「ホテルナポレオン」。「貴賓室に来てしまったのか!?」と錯覚するほど、荘厳な空間のホテルです。
部屋の名前も「エマニエル」「ナポレオン」「ルイ13世」と世界観を崩しません。特別な時間に設けられた、ふたりだけに用意された舞台。雪国でも触れ合うふたりの熱が冷めることない、職人気質の血が通った暖かい内装です。これはレトロ好きだけでなく、世界の全人類に見ていただきたいですね。
次が、宮城県にあるビル型タイプの「ホテル赤いくつ」。バブル時代のブリリアントな発想力で生み出された、全室異なる27室のお部屋たち。麗しき80年代のもてなし精神が光ってどの部屋にしようか迷います。新幹線の停車する古川駅から徒歩圏内で立地も素晴らしいです。
——関東から中部にかけては、ホテルの絶対数が多いと思いますが、あえて選ぶとどこでしょうか?
那部:関東ですと、千葉県の「ホテルファミー」。日本で一番露出の高いラブホテルではないでしょうか? お城の外観なので、ドラマなどでもよく使われます。私は千葉出身なのですが、「ホテルファミー」がある幕張は異様でした。ちなみにお隣には「ホテルUFO」という、本当にUFOの形をしているホテルがあります。UFOとお城という謎の組み合わせに子供の頃、「あれ、なぁに?」と親に聞いて困らせていましたね。考えてみれば、あれが私の原風景でした。
静岡県は日本の大動脈ということもあり、なかでも沼津はホテルの数が多いので、良いホテルがたくさんあります。なかでも、「ホテルAI(アイ)」は、日本でも希少な「せりあがり回転ベッド」があり、限られた空間の中にふたりの大宇宙が広がります。

那部亜弓さん(本人提供)
日本の異文化摂取の巧みさが光るホテル

ホテルナポレオン
画像/那部亜弓(以下同)
城とUFOが並ぶラブホテルの名所

千葉県の「ホテルファミー」
ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki
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