仕事

競馬界出身の28歳女性が「20トントレーラー運転手」に転身したワケ「街中を走っているとビックリした顔で見られます」

馬と車、乗るときに共通している“意外なこと”

タマミさん

今後は大型二輪免許を取得する予定とのこと

 さらに、馬に乗っていた経験が今の仕事に思わぬ形で生きているという。 「馬と車に乗ることは、全然違うようで結構似てるところがあるんです。たとえば体全体でバランスを取る感覚とか、外の景色をみながら五感を使って情報を感じることとか。馬に乗ってきた経験があったから乗り物に対する抵抗もなく、トレーラーの運転もすんなり入っていけたのかもしれません(笑)。ただ、馬と違って遥かに高い目線で遥かに巨大な車体を動かす感覚を磨かないといけないので、それはまた違った勉強になります」  馬やトレーラーなど、さまざまな乗り物を乗りこなしてきたが、次なるターゲットもすでに見つけているようだ。 「大型二輪の免許を取りたくて、休日に教習所に通っています。順調ならもうすぐ取得できる予定です。いずれスズキのハヤブサに乗りたいと思っていますが、そのために今は貯金をしています。そして人生の最終目標は飛行機を操縦することなんです。オーストラリアで知り合った友人と一緒にオーストラリアで操縦士の免許を取る約束をしています(笑)」

馬たちが教えてくれた「無限の可能性」

 取材中も終始、明るい笑顔で答えてくれたタマミさん。側から見ると型破りにも見える阿部さんの生き方だが、28年の人生を振り返って、最後にこう語ってくれた。 「ずっと男性社会に身を置いてきたため、周りから『女性はやめておいたほうがいいんじゃない?』なんて言われることもありました。トレーラーも大型バイクもそうです。でも私にとっていつもそこにあるのは自分との闘いで、最初はできなくても、常に技術を磨いていくことが本当に楽しいんです。これまで乗ってきた馬たちが教えてくれたように、自分の心持ち次第で自分自身に無限の可能性を与え続けられると思っています」  情熱に従って学ぶことを楽しむ。白雲自在に生きる情熱のタマミさんなら、いつか飛行機をも超える意外なモノを乗りこなしているかもしれない。 取材・文/中川大河
競馬歴30年以上の競馬ライター。競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。競馬情報サイト「GJ」にて、過去に400本ほどの記事を執筆。
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