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“空港の最寄り駅”なのに「滑走路の逆側にあって使われない」秘境駅。空港から歩いて行ってみた

空港最寄り駅とは思えない、絵に描いたような山間の秘境駅だった

中福良駅のある集落。家の数は少なかったが、小学校もあった

中福良駅のある集落。家の数は少なかったが、小学校もあった

 道中では撮影しながらのんびり歩いていたが、空港から50分ほどで駅のある中福良の集落に到着。コンビニや飲食店は見当たらなかったが小学校はあり、思った以上に住んでいる人は多いようだ。  訪れたのは24年3月下旬。まだ満開ではなかった集落内にあった桜の木が咲き始めていた。これを見られただけでも空港からわざわざ歩いてきた価値はあった。
ホームの屋根付き待合スペース

中福良駅ホームの屋根付き待合スペース

 なお、中福良駅は片側ホーム1面の無人駅。駅舎はなく、屋根付きの小さな待合所がホームにあるだけだ。それでも絵に描いたような、いかにもローカル線の駅という雰囲気。空港最寄り駅らしさは皆無だが、秘境駅好きの筆者にはたまらない。
駅ホームに入線した隼人駅行き普通列車

駅ホームに入線した隼人駅行き普通列車

 さらにホームに到着する隼人駅行きの普通列車は、JR九州管内ではおなじみの白地に青のラインが入ったキハ140形。国鉄時代の気動車を改造した車両だが、田舎の風景によく似合う。目的地の鹿児島市内には、時間的にもかなり遠回りする形になってしまったが、個人的には大満足の結果だった。

中福良駅の隣には鹿児島県内で一番古い駅舎も

別の年に訪問した、中福良駅の隣にある嘉例川駅

別の年に訪問した、中福良駅の隣にある嘉例川駅

 余談になるが、中福良駅の隣には、駅舎が国の登録有形文化財になっており、観光名所としての人気の嘉例川駅もある。開業した1903年当時のままの駅舎は鹿児島県内でもっとも古く、空港からは歩いても1時間程度だ。  どちらの駅も空港からのアクセスは、お世辞でもいいとは言えないが、ローカル線が好きな方にはオススメ。  飛行機で鹿児島を訪れた際、あるいは帰る際には、あえて少し足を延ばしてこれらの空港近くの秘境駅に立ち寄ってみてはいかがだろうか。 <TEXT/高島昌俊>
―[シリーズ・駅]―
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
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