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「映画という概念はなくならない」染谷将太が見据える未来。「それが決して映画館でかかっていなくても」

映画という概念はなくならない

映画という概念はなくならない――配信というお話がありました。今回は「映画館」の物語ですが、それこそ映像コンテンツも、時代とともに変化を余儀なくされます。たとえばタテ型ショート作品や、VRやCG、AIの技術は俳優業にも影響があります。 染谷:正直、どういうふうに感じればいいのかも、ちょっと分からないくらい色んな動きがありますよね。「映画」ということでいえば、映画という概念はなくならないと思っています。それが決して映画館でかかっていなくても、です。 たとえば今は、映画館でちょっと上映して、配信に移るという作品もありますが、それも映画だと思えば映画ですし。概念という意味での映画は続くと思っています。そこで演者として立つ自分としては、演者という概念もなくならないと思っています。AIの技術に関して言うと……。 ――はい。 染谷:AIというものは、自分の知っている知識の範囲では、ゼロから1にはできないはずなんです。ゼロから1にするのは人間がやらなければいけない。 じゃあ、ゼロから1を作るってなんだろうと思った時、AI関係なしに、お芝居をするという意味で立ち返ってみても、1を膨らますのではなく、ゼロから1ということをしていかなければいけない。そうしないと、自分はきっと残っていけないだろうなと、漠然と思ったりします。

役者業も、じわじわといろんな変化はありそう

役者業も、じわじわといろんな変化はありそう

(C) 本田プロモーションBAUS / boid

――そうしたことを、普段から考えることはありますか? 染谷:ありますよ。漠然とですけどね。技術があれば、顔だって変えられるし、危険なスタントもできるし。技術が変わっていけば、自分たちのやることも、急に大きく変わることはなくても、じわじわといろんな変化はありそうだなと思ったりはします。 ――本作にも「トーキー」の登場が描かれていましたが、映画は新しいことを取り込んできた文化でもあります。常に“変化”と一体というか。今、ショートショートやタテ型の映画祭が生まれているのも必然にも思いますし。 染谷:映画って、何かの規定を満たしたら映画という印が押されるわけでもない。「これは映画だ」と言ったらそれはきっと映画なんだと思います。逆に観た人が「こんなの映画じゃない」と言えば、その人の中ではそれは映画ではないんだろうと思います。 先ほども「映画という概念はなくならない」とお伝えしましたが、それが全てで、形が変わっても、この先も「これは映画だね」というものが続いていくのかなと思っています。
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「染谷将太」を作ってきた「映画館に行く」という行為
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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