中日・谷繁監督が連敗中にかけた言葉――結果に通じる道筋にこそ改善のポイントがある
―[俺の職場に天才はいらない]―
週刊SPA!連載<俺の職場に天才はいらない!>
谷繁元信監督兼選手の管理職的独り言
◆結果に通じる道筋にこそ改善のポイントがある~連敗中にかけた言葉~
4月20日現在の成績は12勝9敗。兼任監督1年目の昨年と比較したら、5割に届いたかと思ったら、なかなか貯金ができず5割前後を行き来していたのだから、それを思えば今年は開幕からいい調子でペナントレースに入っていけたんじゃないかな。
プロ野球の世界に入って今年で27年目。監督になったとはいえ、連敗中だからといってオレはジタバタしたり、特別なことはしないよ。結果に一喜一憂しても仕方ないからね。とはいえ選手によってはもちろん気になることがある。そういうときは直接言葉を掛けるし、タイミングを見計らって話そうと、まだ声を掛けていない選手もいる。
組織全体の話をすると、オレは開幕前日にチーム全員を集めて話をしたことはあった。だが開幕3試合に連敗スタートしたからといって全体のミーティングはしなかった。ここであたふたしちゃダメなんだ。
9イニングの攻防で勝負がつくのが野球というスポーツだから、その結果、勝ったり負けたりは仕方ないこと。野球に取り組むチームの姿勢、勝負に向かう選手の姿勢に関しては、みんな本当に一生懸命やってくれているよ。でも、もちろん結果については「なぜ敗れたのか?」という視点からは真剣に考えなければならない。だから開幕3連敗とか、その直後の7連勝という結果について、結果論で何か言うようなことは一度もなかったね。
◆サヨナラ負けに至る過程に反省点がある
例えば開幕戦の阪神戦。サヨナラ打を打たれた田島慎二とは個別に話をしたよ。ただし内容はサヨナラの場面についてではなく、ピンチを招いてしまった過程についてだ。先頭バッターを四球で歩かせたこと、そして次打者に送りバントを決められたこと。反省すべきはマートンの安打そのものじゃないんだ。
田島は大学を出て今年4年目の選手でしょ。これから彼は、成功の中からも、失敗の中からもいろいろなことを学んで成長していかなければならない選手。だから反省したら次の機会に活かせるように、成功したら次も同じように成功できるように、その繰り返しを続けていってほしいんだ。地味なことだけどコツコツとね。
この世界は一度開幕を迎えると、秋まで毎日試合が続く。だからいい結果が出てもいちいち喜んでいられないし、ミスをしたからってうつむいている暇もない。そんなことしていたら翌日の試合の準備がおろそかになってしまうからね。
開幕戦では2年目の又吉克樹を8回裏の勝負の場面で投入したけど、あれは今年1年、オレたちがこういうゲームプランで勝ちに行くんだという姿勢を見せた結果。又吉は今春、初めて侍ジャパンに選出されて世界レベルでの野球を経験して帰ってきたけど、彼に関しては昨年のシーズン途中くらいから、ひと皮剥けた感があったと思う。
まだ経験の浅い若手2人をゲーム終盤の大事な場面に起用することが多いけど、彼らに対してはこちらも信頼をして送り出しているので、自信を持ってやってくれていると思うよ。
好調をキープしたまま、交流戦までハードなゲームを続けたいね。
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