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「競馬予想詐欺」の手口を元業者が暴露する

架空の投資話や訪問販売など、悪質業者の被害は後を絶たずニュースを賑わしている。しかし、多くの人は思うだろう、「なんで、ダマされるの?」「ダマされるほうがバカじゃないの?」と。が、悪質業者も巧みだ。新たな詐欺手口は日々増え続け、我々の虚をついてくる。そこで、SPA!では業者の変わらぬやり口、新たな手口を、加害者・被害者の立場から紹介。悪質商法から身を守るヒントにしてもらいたい ◆元・業者が告白! 劇場型競馬詐欺に被害続出のワケ 詐欺 「長年続けてきた確率論の研究結果をもとに、私は8割の確率で万馬券を当てるシステムを開発した。あなたには、このシステムの正しさを証明する証人になってほしい。一度電話をいただき、所定の手数料を振り込んでくれれば、今週末に買うべき馬券を伝えよう」  天才数学者を名乗る男から届く、この怪しいダイレクトメール(DM)。実際に大ウソなのだが、この競馬予想詐欺の被害者は想像以上に多いという。この業者で働いていた30代男性は語る。 「1万通のDMに対して20~30人ほどから、実際に振り込みがあります。引っかかる人は地方在住のお金を持った年配者ですね」  電話をかけてきた“カモ”を相手にするのは営業スタッフ。数学者になりすまして電話を受け、相手の資産状況などを探り、その見込みに応じて1万~200万円ほどの手数料を要求するという。 「予想は当然デタラメでハズれるため、すぐに2通目のDMを送付します。そこでは『私が必勝法を編み出したことが巨大な国際組織にバレてしまい、圧力でレース結果を変えられた』などと壮大な言い訳とともに謝罪。相手からは『詐欺だ!』というクレーム電話がありますが、謝罪を繰り返し『損をさせたままでは申し訳ない。私も危険な橋を渡る覚悟で、来週再挑戦する』と伝え、またそこでお金を振り込んでもらうんです」  半数の人がこれを信じ、再度、振り込む。が……当然ハズれる。 「今度は『政界の大物O氏から、俺の利権に手を出すなと連絡があり、圧力で潰された』などと新たな言い訳を伝え、『次こそ!』と再度お金を要求します。もちろんハズれるごとにダマされる人は半減しますが、最大4回ほどこれを繰り返し、最後は『海外逃亡せざるを得なくなった』『私はある場所に幽閉されている』などと伝え、逃げるんです」 ◆ 「この物語はフィクションです」  こんなウソくさすぎる手法にもかかわらず、裁判を起こされたことは皆無。実は最初に送るDMの欄外に「この物語はフィクションです」と極小の文字で記載するなど、リスク回避は万全。それどころか、ダマされた人の中には、数学者の身を案じて「あなたの人生は今後どうなるのか?」と電話をしてくる人までいるというから驚く。 「詐欺だと言われたときに『そんな悲しいことを言わないでください! 私は命の危険を冒してるんです!』などと情に訴える作戦に出ると、相手は私たちを巨大な悪の組織と戦う同志と感じ始める」 なおこの会社は数か月ごとに会社名やDMのストーリーを変更し、また同じ人にDMを送付する。複数回引っかかる人も多いそうだ。 「陰陽師がはやったときは『陰陽道秘伝の占いから生まれた必勝法』、福本伸行の漫画『銀と金』が元ネタの『政界関係者が来週のレースをカネの力で買収した』などの物語も使いました。営業担当は物語に応じて巧みに演じ分けてますよ」 イラスト/岩井勝之 ― 「おいしい話にダマされた!」最新被害報告【5】 ―
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