反原発アイドル藤波心「ブログでは、悪口もあって正直ヘコみました…」
― 有名人が告白 震災で変わった「私の生き方」 【8】 ―
阪神大震災、オウム事件、9・11――。これらの出来事と今回の東日本大震災の一番の違いは“当事者感覚”の有無だろう。東京から明かりが消え、余震が続いたなか、人々は原発の情報収集に奔走したからだ。そんな状況を経て、各界著名人の価値観はどう変わったのか?
◆非常時だからこそ、友達や大人の本当の姿が見えた気がします
藤波 心
ふじなみ・こころ(中学生アイドル)
地震があったのは、ちょうど中学校から帰ってきたときでした。私の家は兵庫県なので、被害はほとんどなかったのですが、テレビをつけたら地震速報が流れていて……。家族は涙ながらに画面を食い入るように見ていました。夜になると「原発が危ない」という報道が流れるようになり、不安でドキドキして、その日はなかなか眠れませんでした。
そして次の日、塾の友達にその話をしたんです。でも、友達は地震には無関心で、「地震や原発のニュース・中継ばかりでつまらない。早くバラエティ番組や歌番組が観たい」なんて反応しか返ってこなかった。そういう友達を見て、すごくショックを受けたんです。
あと、テレビの報道にも違和感を覚えました。私の家では、ケーブルテレビで地上波以外の報道番組や海外のニュースも観ることができ、それらの番組はかなり危機感を持った内容でした。でも、地上波は「大丈夫、安全です」としか繰り返していなくて、その温度差がとても気持ち悪かった。ネットでいろいろ調べてみても、やっぱりこれはおかしいと思い、それでブログに記事を書いたんです。
反響はさまざまでした。ブログでは、個人的な悪口とかもあって正直ヘコみましたけど、それより、それまで親友だと思っていた友達が急に冷たくなったり、尊敬していた大人の方から怒られたり……。逆に、そんなに仲良くなかった知り合いが「私も同じこと思ってた!頑張ってね!」と励ましてくれたり、苦手だと思っていた人が「感心した! 応援する!」と言ってくれたのは驚きでした。「平和なときに楽しく過ごす仲間が、非常時にも仲間としていられることはないのかな」と、深く考えさせられたと思います。
また同時に、これまで原発のことなど一度も考えず、のほほんと暮らしていた自分の馬鹿さ加減にも嫌気がさしました。一見豊かに見える、科学が進歩したこの現代、華やかな都会が、こんな危険と隣り合わせで成り立っていたなんて思いもしなかった。家族がいること、暖かい布団にくるまって眠れること、些細な当たり前のことが、あの日を境に、ひとつひとつが日々の感動に変わりました。
「生きるとは何か?」「幸せとは何か?」を今後の人生のテーマにしていきたいです。
私はまだ中学生で、B級の無名アイドルです。それに仕事の内容もグラビアという、そういった哲学的な問いからは程遠い存在かもしれません。でも、微々たる力ですが、できる範囲で、今回の震災で私が素直に感じた思いをいろんな表現方法で伝えていきたい、そう思っています。
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