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ベビーカー問題etc.マナー論争に正解はナシ

◆マナーにうるさい日本人 いったいどこからNGなのか? イラスト/石井匡人  タバコや空き缶のポイ捨て禁止、犬の糞の後始末、隣近所へのあいさつのすすめなど、五七五の標語が溢れる日本は、マナー啓発運動においておそらく世界のトップクラス。しかし、洋の東西を問わず、マナーをタテに説教をしてくる赤の他人ほどウザったいものはない。それゆえ、日本におけるマナー論争は、「俺のマナー論」の押し付け合いになりがちだ。  その端的な例としては、「電車内でのベビーカー利用」と「飛行機に赤ちゃんを搭乗」させることの是非をめぐる論争が挙げられるだろう。あらましは下記で紹介しているが、SPA!が全国の男女200人に行った調査によれば、電車内や駅構内のベビーカーが邪魔だと憎悪を燃やす人の割合はなんと3分の2にも上ったのである。 ※【アンケート結果】はコチラ⇒ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=355312 グラフ「ベビーカーは移動用なんだから、電車に乗ったら畳むのが当たり前。何人分のスペースを使う気なのか」(27歳・男性・飲食店)  周りの客と同じ料金しか払っていないのに大きな顔をするな、という主張は一面的には正しいのだが、もちろん母親たちのほうは、口を揃えて大反論だ。 「障害者の車椅子も、旅行帰りの大きなキャリーケースもOKなのに、ベビーカーはなんでダメなの? 日本は子育てする人に冷たいと思う」(28歳・主婦)  こういった具合に、あっちを立てればこっちが立たない状況におけるマナー論争では、論者の人間性がモロに表れる。特に、密閉空間が長時間にわたって継続する飛行機ではその対立が先鋭化する。  さかもと未明氏が飛行機内でのマナーについて投じた一石に対して、ネット上では「子供が泣くのは当たり前だ」などの非難が囂々。しかし、SPA!の調査では、さかもと氏に理解を示す層が4割弱も占めたのである。 「深夜出発のフライトで、朝まで8時間、ずっと赤ちゃんが泣いていた。あやしていた親も大変だろうけど、正直、赤ちゃん連れで飛行機は勘弁してほしいと思った」(32歳・男性・不動産)  マナーを守ること自体は美徳だが、どうもマナーの実態は、本音と建前のせめぎ合いのようだ。 ◆電車内ベビーカー&さかもと未明騒動とは……  2012年3月、電車内でのベビーカー利用に理解を求めるポスターが首都圏の駅構内に貼りだされたが、普段からベビーカー婦人の“横暴”に苛立っていた人々を中心に議論が沸騰。これを8月末に朝日新聞が取り上げるにいたって、ツイッター上では各自の正義が飛び交った。  また、11月10日発売の『Voice』誌では、漫画家・評論家のさかもと未明氏が、飛行機内で泣き叫ぶ赤ん坊への対策を怠るJALにブチ切れ。その母親に「赤ちゃんを乗せるな」と直接注意喚起した顛末を寄稿。これがネット媒体に記事配信されるや、ツイッターで大炎上した。 ※調査は全国20~40代の男女200人を対象にインターネットを使って実施した イラスト/石井匡人 ― 公共マナー[OK/NG]の境界線【1】 ―
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