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藤川球児に追い風!阪神とシカゴ・カブスの共通点

藤川球児,リグレー・フィールド

球児のホームタウン「リグレー・フィールド」とはこんな球場です

 阪神の絶対的守護神だった藤川球児がシカゴ・カブスに移籍した。ファンには寂しい限りだが、間もなくキャンプイン。メジャーでの活躍に期待は高まるばかりだ。  狙うはクローザーのポジションと断言する藤川が、新しい縦ジマ姿で、シカゴの試合をピシャッとシメる日は来るのか。  シカゴといえば……まず寒い!  1月のこの時期、平均気温はマイナス。ミシガン湖から一年中風が吹きこんでくるため、「ウィンディ・シティ(風の街)」と呼ばれ、「暗黒街の帝王」アル・カポネが暗躍した街として有名だ。思わず身震いしそうになるが、この街はいろんな意味でアツい。  ギャングの影響があったかどうかはわからないが、気質としては働き者で家族思い。外からの人間も快く受け入れるし、懐に入れば熱烈にバックアップしてくれる。食べ物もアメリカの他の大都市と比較しても、安くて旨いと評判だ。  気質も街の特徴も、どこか大阪に通じるものがある。実は、シカゴと大阪は姉妹都市。カブスファンも虎キチのように熱烈だ。ホーム球場のリグレー・フィールドの外野フェンスには蔦が生い茂り、甲子園を思い起こさせる。ユニフォームは阪神と同じ縦ジマ。「シカゴの風」が藤川にとって追い風になる可能性も十分だ。  一刻も早くシカゴを「ホーム」と思って、本領発揮といきたいところだが、シカゴ人が関西弁を話すわけはない。英語はどうするのかと尋ねられた藤川は、「現地で中南米の選手と英語塾に通いたい」と異文化交流にも積極的だ。  メジャーで活躍する日本人選手の多くには、野球に専念できるよう通訳が帯同しているケースが多い。とはいえ野球はチームスポーツ。チームメイトと些細なやり取りもできないようでは孤立してしまう。  ペラペラになる必要はないし、片言でも構わない。仲間のことを知りたいという気持ちはどんどん前に出すべきだろう。究極なのは川﨑宗則(前マリナーズ)。日本語で話しかけ、さすがに当たって砕けたようだが、結果としてチームメイトからは面白がられ、成績とは裏腹にチームには受け入れられていた。  実は、イチローも松井も、現地メディアには日本語で通訳を介して言葉を伝えているのだが、チームメイトや監督、スタッフとは普通に英語で会話をしているのは有名な話。ダルビッシュも、短くも堂々と英語を使う。  流暢な英語を操る元メジャーリーガーの長谷川滋利は、「セットアッパーならブルペンで投手同士、いろんな話をした方がいい」と言う。大家友和、田澤純一(レッドソックス)などの通訳なしで這い上がった叩き上げ組はもとより、今年からレッドソックスに移籍する上原浩治もチームメイトと積極的に英語でコミュニケーションを取っている。 「日本のラテン」と言われる関西出身の藤川には、ぜひとも本当に中南米の選手と英語を学び、新しいホームに馴染んでもらいたい。本拠地リグレー・フィールドは、勝利毎にスコアボードのセンターポールに「W(WIN=勝利)」のフラッグを掲げる文化が定着している。「今日は勝ったぜ!」と昔ながらの手法でファンと喜びを分かち合う伝統球団シカゴ・カブス。藤川がゲームをクローズする度に、「W」のフラッグがシカゴの空になびくはずだ。 <取材・文/スポーツカルチャー研究所 イラスト/岡田航也 http://koya-o.comhttp://www.facebook.com/SportsCultureLab 海外スポーツに精通したライターによる、メディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多様な魅力(=ダイバーシティ)を発信し、多様なライフスタイルを促進させる。日刊SPA!では3月に始まるWBCや、MLBの速報記事を中心に担当
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