ローカルアイドルとJリーグの類似性とは?
アイドル業界で今年のキーワードとされているのが“ローカル”。東京以外を本拠地とするグループたちだ。今回はインディーズながら2万枚のCDをセールスし、4/17にメジャーデビューを飾ったLinQを密着取材。彼女たちの先にローカルアイドルの可能性を探った。
◆識者が語るローカルアイドルの可能性
「AKB48に端を発する“会いに行けるアイドル”が誕生。アイドルがテレビから発信されるのではなく劇場型になった。さらにネットの進化で従来とは異なりアイドル自体が発信源になったことも、ローカルアイドルの隆盛に繋がっている」と、社会学者の太田省一氏は語る。
とはいえ、ローカルアイドルが地元を基盤にしながら大々的にメジャーデビューを成し遂げたのは過去にほとんど例がなかったのではないか。そこでキーポイントとなるのはやはり、福岡という土地。
「音楽に関して豊かな土壌がありますよね。井上陽水、海援隊、チューリップが出てきたのは天神の『照和』というライブ喫茶からですし、もともと松田聖子なども輩出したアイドルに強い土地。名古屋や大阪とも違う、文化的な背景を持っていたんでしょう。また福岡はアジアと日本の窓口という側面もあり、LinQのコンセプトでもある、地域と国を繋げる可能性を持ったポジションなのです」
また太田氏は、ローカルアイドルとJリーグの類似性を指摘し、今後の課題を提示する。
「プロ野球はマスメディア重視でしたが、Jリーグは積極的に地域密着を打ち出してきました。地元でやりながら、日本各地のチームと戦い、大会によっては海外にも出て行く。企業や自治体のプロモーションのためにやるのではなくて、あくまでスポーツ文化として地元に根付かせたのがJリーグですよね。これは、ローカルアイドルとかなり似ていると思います。地元の劇場に老若男女問わず誰もが出入りするようになる。地方でそれができれば、女性アイドルグループはブームでなく、文化になる可能性がある。ただこうなるには、彼女たちが経済的に自立してやり続けられるかどうかが、今後の課題になるでしょうね」
【太田省一】
社会学者。’60年、富山県生まれ。社会学者。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。アイドル文化に詳しく、『アイドル進化論 南沙織から初音ミク、AKB48まで』(筑摩書房刊)など著書多数
取材・文/南波一海 撮影/菊竹規
― ご当地アイドル・LinQ メジャーデビューまでの軌跡【5】 ―
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