更新日:2015年10月14日 14:22
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ネズミ、ハクビシン…飲食店も困惑する渋谷害獣事情

昨今、駅周辺の再開発など明るい話題の多い渋谷だが、そんな“表の顔”とは裏腹に、ネズミが巨大化&異常繁殖しているという。その凄まじい現状を追った―― ◆街中のネズミの実態はほぼ把握されていない まち情報, ネズミ, 渋谷, 生物, 衛生 渋谷で食べ物を扱う飲食店では、ネズミの被害が深刻になっている。 「夏のある日、空調から異臭が出て業者を呼んだら、エアコンの中からネズミの腐った死体が……。業者の話では、一度奥まで入ったら出てこれなくなるヤツが多いらしいです」(小料理屋店主) 「去年の8月に、ゴミをためるバケツの底にウジ虫がわき、それをネズミが食べて暴れまわっていた。もう、地獄絵図です。店長には『日常茶飯事だ。忘れろ』と言われましたが……」(焼き鳥店店員)  客側としては衛生面で不安になるエピソードだが、店舗側にも苦しい事情があるという。渋谷のカフェ経営者が話す。 「円山町に店を構えて5年目ですが、ネズミが増えだしたのはここ1年です。もちろん、前から駅の近くにはいましたけど、道玄坂を越えたエリアでネズミが出るって話は聞いたことがなかった。駆除をしたいのですが、結構費用がかかるんです。それに、うちの店だけやっても意味がなくて、ビル丸ごと駆除しないといけない。けど、飲食店以外のテナントは『お前の店が悪い』と言うし、店はそれぞれ営業時間が違うから、まとまった駆除作業もできない。当然、ビルオーナーも含めて費用負担の分担も問題になります。結局、市販の殺鼠剤を試したんですが、まったく効きませんね。季節に関係なく出るし、保健所や区も対策をしないので、正直、八方ふさがりなんです」  このようにネズミが異常繁殖しているのは明らかだが、正確な調査はほとんど実施できていないのが現状だ。渋谷区生活衛生課は「屋外のネズミには対応しきれず、実数も把握できていない」と話す。   また、有害生物の防除・防疫活動を行う東京都ペストコントロール協会によれば、「昨年、当協会には渋谷区で54件のネズミの駆除相談が寄せられたが、それは主に個人宅からのものでした。特定の人が気づかない路上に出現するネズミの正確な生息状況は、把握が難しい」という。誰もその実態をつかめないまま、ネズミは増え続けているのだ。 ⇒【画像】※閲覧注意
https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=481339
◆ネズミだけにあらず!渋谷に出現する他の害獣  渋谷で躍動しているのはネズミだけではない。ゴキブリやカラスなど定番の害虫・害獣に加えて、近年、渋谷を含めた23区内で急増しているのが、ジャコウネコ科の外来種ハクビシンだ。全長は大きいもので110cm、体重は3kgを超え、小型犬に匹敵するほどの大きさになる。イタチに似たかわいらしい風貌だが、性格は凶暴で、一戸建て住宅やマンション、ビルなど出没場所もさまざまだ。有害生物の防除・防疫活動を行う東京都ペストコントロール協会によると、「雑食性のハクビシンは天井裏などにすみつき、ネズミとは比べものにならないほどの足音や糞尿などの被害があります。ひどいケースだと、尿が天井から垂れてきたり、天井が腐って落ちることもある」。  同協会に寄せられた目撃・相談件数は昨年だけで20件を超えるという。  また、厄介なのがハクビシンの多くが感染している疥癬(かいせん)という皮膚感染症の一種だ。 「野生のハクビシンは皮膚病に感染していることがあり、猫や犬、人間にも感染する恐れもあります。毛の抜けた個体を目撃した場合、絶対に近づかないでください」(東京都環境局)  感染すると全身に湿疹ができ、強い痒みに襲われるという。このように厄介な存在であるハクビシンだが、鳥獣保護法により許可を受けた業者でないと捕獲・駆除をすることはできない。一般市民としては近づかない以外に有効な手立ては、いまだにないのだ。 ― 渋谷で巨大ネズミが異常繁殖中【2】 ―
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