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レアル、ACミラン等のサッカー校が日本上陸、地元スクールとのバトルも

 海外のトップチームでプレーする選手が増え、5大会連続でW杯に出場するなど着実に進歩を続ける日本サッカー界。いずれはW杯で優勝も……と、夢は広がるばかりだが、そんな日本のサッカー市場を開拓しようと海外の強豪クラブが続々と日本に上陸を果たしている。 ◆欧州トップレベルの指導を受けるチャンス  新たに注目されているのは小中学生の育成年代だ。2013年10月1日には“白い巨人”ことスペインのレアル・マドリードが「レアル・マドリード・ファンデーション・フットボール・アカデミー千葉」(http://gfm-real.com/index.html)を開校するなど、日本にいながら子供たちは欧州トップレベルの指導を受けることができる。  その他にもスペインのバルセロナ、ドイツのバイエルン・ミュンヘン、イタリアのACミランなど、サッカー好きでなくとも一度は耳にしたことのあるチームが 子供向けサッカー教室を開設している。本場の指導ノウハウや“褒めて育てる”姿勢に、「普段の練習とは違った刺激が受けられる」「良いプレーを認めてもら えて自信がついた」と、受講する子供や保護者からも評判は上々だ。
石垣校

レアル・マドリード石垣校の生徒たち。こんなにいるの!?

------------------------------------ 【開校&開校予定の主な欧州系常設スクール】 <スペイン> レアル・マドリード/沖縄県石垣市、神奈川県横浜市、愛知県豊田市、千葉県千葉市 バロセロナ/福岡県春日市 バレンシア/兵庫県神戸市、大阪府大阪市 <イタリア> ACミラン/愛知県名古屋市・小牧市、大分県由布市 インテル/東京都渋谷区、長野県佐久市 <イングランド> チェルシー/東京都八王子市 <ドイツ> バイエルン・ミュンヘン/広島県福山市 ------------------------------------ ◆黒船襲来に地元チームの“妨害”も?  憧れのチームのユニフォームを着て、指導経験豊富なコーチに教わる。何とも夢のある話だ。だが一方で、例えばレアル・マドリードのスクールの「才能が認められれば、コーチ推薦でマドリードでのキャンプに参加する資格が得られ、同チームのトップ選手育成機関『カンテラ』の入団テストに挑戦する道も開ける」といったシステムを聞くと、優秀な選手が海外に引き抜きかれてしまうのではないか?と勘ぐりたくもなってしまう。
ACミラン

ACミランのスクールのHP

 しかし、こういったスクールは基本的に国内の公式戦などには出場しないため、多くの子供たちは地元のチームでプレーしながら掛け持ちをしている。有望選手を獲得するというよりは、ファンの獲得や、海外文化を通じた子供たちの育成といった教育的側面が強いのだ。  ところが、この「黒船の襲来」に地元のサッカーチームは戦々恐々としている。週末に小学生のサッカーチームで監督を務める某氏は、海外スクールの進出で自分のチームがバラバラになってしまうのではないか恐れているという。
レアル・マドリード

レアル・マドリードのスクールのHP

「生徒が別チームの練習に参加して、私たちの指導に疑問を持ったら困ります。うちはエース頼りでなんとか勝てているけど、引き抜きにでもあったらガクッと戦力が落ちてしまいますよ」  その他にも「元Jリーガー指導者の価値が低下してしまう」、「生徒が減ったら生活できなくなる」など、批判的な意見は少なくない。さらにはこういった指導者たちの反発がエスカレートし、子供たちをめぐる仁義なき戦いが起きているという。 「掛け持ちしている子が干されたり、親御さんの間で悪評を流されたり、といった噂はたしかに耳にします。こちらとしては共存共栄していきたいのですが……」(海外スクール関係者) ◆大事なのは、子供の選択肢が増えること
チェルシー

チェルシーのスクールのHP

 まるでサッカー界のTPPのような話だが、意外にもサッカーメディアの反応は冷静だ。東京都のチームを中心としたサッカー情報サイトの運営者はこう語る。 「地域のチームが掛け持ちや引き抜きに反発するのは、国内のチームでも同じことです。Jリーグのジュニア・ユースでも声をかけて疎まれることはよくありますよ」  海外チームは知名度が高いため、矢面に立たされることが多くなっているという。では、こういった嫌がらせはどうすれば無くなるのだろうか? 先述の情報サイトの運営者は、育成という言葉の見方を変えることが大事だという。 「悪く言えば掛け持ちかもしれませんが、ポジティブに考えれば『優秀な選手を輩出している』、『欧州式の練習を受けている子もいる』ということ。短期的に大会などで結果を残すことも大事ですが、長期的にはそういった面をアピールした方が良いと思います」  一番大切なのは子供たちが楽しくプレーすること。そして、日本サッカーの技術が上がることだ。先日も日本でバルセロナやリバプールが出場した「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013」が開催されるなど、育成年代への注目は増すばかり。こういった問題が起きているのも日本でサッカーが浸透した証拠なのかもしれない。 <取材・文/林バウツキ泰人>ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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