五輪を機にゴールデン街を狙う「再開発」計画
長年の誘致活動が実のり、2020年の東京オリンピック開催が決定した。8年間で3兆円という膨大な経済効果も期待され、明るい話題ばかりだ。しかし、その陰ではさまざまなものが排除される“浄化作戦”がこっそりと進行していた!
◆新宿ゴールデン街が再開発でなくなる?
五輪絡みの再開発で「新宿ゴールデン街がなくなる」という噂が広まっている。戦後の闇市に起源を持つゴールデン街には今も300軒近いスナックやバーが密集し、作家や演劇人などの常連客も多い。最近では若い店主による出店も相次ぎ、多くの人で賑わっている。
ゴールデン街は新宿区役所の向かいという超一等地に位置しており、大企業にとっては喉から手が出るほど欲しい場所。密集する木造長屋を潰して大規模商業施設を建設する計画は、これまで何度も持ち上がってきた。
だが、ゴールデン街は海外でも非常に有名で、観光客はもちろん、来日の折には必ず訪れるビジネスマンも多い。貴重な観光資源を潰すことへの反対の声が内外から寄せられている。
◆高齢者が長年住んでいる都営住宅の立ち退き
「突然出て行けと言われてびっくりです。ここが死に場所のつもりでいましたから」
メインスタジアムとなる国立競技場の近くの都営霞ヶ丘アパート(10棟240世帯)。住民は昨年夏、東京都から、国立競技場の拡張工事のため、2年後までの退去を求められた。同アパートは、’64年の東京オリンピックのために立ち退かされた住民のために用意された。冒頭の言葉は、そのときから住んでいる女性のもの。
住民の大半は高齢者。「どこにも行きたくない」と思っている。解決策はただ一つ。「私らもエレベーターが必要なので、高層アパートに建て替えてほしい。それなら、五輪への土地も確保できるはず」
― 東京五輪の陰で進む“浄化作戦”【4】 ―
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