サッカーW杯予選で31失点した国とは?
―[スポーツ[ワースト記録]大全]―
バレンティンの本塁打、マー君の連勝など、新記録で盛り上がるプロ野球。しかし、スポーツの世界には逆の意味ですごい「ワースト記録」がある。野球、サッカー、ゴルフ、ボクシング、競馬など、さまざまなスポーツのワースト記録をひもときつつ、その当事者にも直撃取材!
◆[サッカー]部門
まずはJリーグの最多連敗記録に注目。’00年シーズンにヴァンフォーレ甲府が残した19連敗だ。
当時、竜王町(現・甲斐市)役場に勤務しながら中心選手の一人として活躍し、初の公務員Jリーガーとしても注目された石原大助氏(現在も甲斐市職員)は「何もそこまで負けなくても……というぐらいすごい記録」と苦笑する。
「とにかく勝利が遠かった印象。失点したくない、という意識が守りの姿勢につながり、負の連鎖で思うような結果が出なかった。相手も『甲府にだけは負けたくない』という気持ちが強かったのでは。低迷しても応援してくれたサポーターには本当に感謝しています。勝利したときは選手やサポーター関係なく、みんなで抱き合い、喜びを分かち合えた。長いトンネルでも必ず抜け出せる……そう教えられた、貴重な経験でした」
一方で、ヴァンフォーレは昨年、J2連続無敗記録(24試合負けなし)も打ち立てていたりする。
「連敗記録と連続無敗記録、どちらも持っているJリーグのチームはウチだけ。過去の苦しい経験があるからこそ、それを糧にして、無敗という記録も残せたと考えています」(ヴァンフォーレ甲府・広報)とは、両極端な記録を残すのも個性のうちということか。
◆W杯予選では米領サモアの31失点という大記録も
極端といえば、試合開始からわずか9秒で退場になってしまった記録も。’09年4月15日、東京ヴェルディ対サガン鳥栖戦で、ヴェルディの菅原智選手が、試合開始直後に相手選手を倒して止めてしまい、一発レッドカードで退場に。
現在、同チームの育成部門でコーチを務める菅原氏は、「すべては僕の判断ミスが原因」と振り返る。
「キックオフ直後、味方から出されたバックパスを、守備的ミッドフィールダーだった僕が触らずに流したせいで、ゴール前のスペースにボールが転がり、いきなりピンチの状況に。相手選手がそこに猛然と走り込んできたので、とっさに手を出して引っ張り、倒してしまった。味方のポジションをきちんと確認しないまま、自分の後ろにいるはずのディフェンダーがボールを受けてくれるだろう、という思い込みが招いた結果です」
でも、チームメイトや関係者は、誰も菅原氏を責めなかった。
「本当に恥ずかしいし、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。二度とこんなミスはしない、と心に誓い、チームのためにプレーする意識をより強くした出来事です」
Jリーグのワースト記録では、ほかに最多失点記録としてセレッソ大阪の9失点てのも(’98年4月15日、対ジュビロ磐田戦)。
ちなみにW杯では、’82年スペイン大会でエルサルバドルが記録した10失点(対ハンガリー戦)が最多だ。さらに予選にまで幅を広げると、’01年4月のオセアニア予選で米領サモアがオーストラリアを相手に31失点(しかも自分たちの得点は0)なんて記録もある。ここまで一方的だと、何だか可哀想な気も……。
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