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末期ガン宣告された40歳会社員が、死に際に準備しておくこと

働き盛りのサラリーマンに突如、降りかかった不治の病。生命保険には未加入、3000万円の家のローン、小さい子供を残して死にきれるのか? そんなケースから考える、資金繰りの方法、休職の仕方などを考えてみる!

◆[密着ドキュメント]末期ガン宣告された40歳会社員が、死に際に準備しておくこと(取材・文/中川淳一郎)

「中川君さぁ、ちょっと大事なことが……」

40代, 人生, 健康 とある火曜日の夜、弊社・Y嬢の1週間で唯一の出勤日が終わり、彼女と普段通り渋谷の居酒屋「山形」で飲んでいたところ、突然Y嬢が言い出した。

「あの部長が末期ガンになった」

 その瞬間、オレは彼の顔をすぐに思い出した。

 堂島二郎氏(仮名・40歳)は大阪の某広告代理店に勤める40歳の部長職。専業主婦の妻と2歳と5歳の子供を持つ男だ。独身のオレとは生活スタイルは違ったが、’11年5月に初めて大阪で会うと、同世代ということもあり、たった7分間で意気投合した仲だ。

 彼はまさに仕事大好き人間で、本当の意味での社畜。「ビューティフル・社畜・ライフ・コンサルタント」の肩書をTBSラジオの『タマフル』から与えられているオレは、彼が放つ言葉や仕事の哲学にいちいち感銘を受けたのである。

「部下の女のコと一緒に深夜残業してたんだけど、暖房が切れていて寒いというから、『5階のコピー機は古いタイプで発熱するからその上で仕事しろよ』なんて言ったら『もういいです!』って怒られちゃったよ、ガハハ」

 ユーモアたっぷりで、社畜。たった1泊の滞在だったのに、帰りは会社を抜け出し駅まで送ってくれた。新幹線が動き出したらホームを全速力で走って追いかけてくる熱い男だったのだ。

 ’13年10月。死ぬんじゃねぇ! オレは居ても立ってもいられず、今度はY嬢とともに、彼が入院している京都へ向かった。話を聞くにつれ、オレは「同世代のサラリーマンがいきなりガン宣告されたら、どうするのか? そして、何を準備しなくちゃいけないのか」を考えるようになったのだ。

 彼が罹ったのは鼻腔のガンであり、それは末期であった。健康に自信があったのと、多忙を理由に2年間健康診断には行っていなかったのだ。

 堂島氏は自分の迂闊さを後悔しつつ、振り返る。

「ある時、耳に違和感を覚えたんです。で、近所の病院に行ってみたら中耳炎との診断。もし、去年ちゃんと健康診断に行っていたら、異常をもっと前に発見できていたかもしれなかったのに……」

 何か耳に詰まっている、そんな感覚を持ち続けたが、耳鼻科医からは「疲れによるもの」と言われ続けたのだ。「確かに俺はモーレツサラリーマンだからなぁ」などとその“診断”に納得していたのだが、半年しても耳の違和感は消えない。その後、3軒の町医者に行ったものの、いずれも「滲出性中耳炎」との診断だった。

 そして突然、右目が見えにくくなった。まるで擦りガラスを通したような見え方。そこで近所の眼科に行ったところ医師は、「眼球自体は問題ないのにおかしいねぇ」などと言う。「滲出性中耳炎」と診断されていることを伝えたところ、総合病院の眼科を紹介され、そこですべてが明らかになったのだ。

 診断は「腺様嚢胞ガン」。唾液腺にできる悪性腫瘍で、耳の鼓膜、鼻、口、喉が繋がっているせいで境界が不明瞭で、治療も難しく完治しにくいガンだった。総合病院であれば、各局が連携しているため、「典型的なガンの症状」がわかったのだろうが、町医者ではそこまでわからなかったのだ。

 念のため、他の総合病院でも精密検査をしたが、結果は同じであった。発見が遅かったのが災いし、末期のガンと診断された。

 ガンの告知は「腫瘍がありますね……」などと回りくどい形で行われることもあるようだが、堂島氏の担当医はズバッと言い切った。

「視神経がガンで侵されています。視力を失っても延命するか、視力を維持して早死にするか、どちらかです」

 生粋の広告マンで、仕事の虫である彼は迷わず後者を選んだ。

「だって一線で仕事をしたいじゃない。だから視力を保つ方向を選びました。ガンが治ったら同じ仕事に復帰したい。お見舞いに来た会社の会長と社長からは、管理部門への異動を打診されたけど、即座に断ったよ」

⇒【後編】に続く

◆30~40代男性にアンケート
『10年以内にガンなどの重篤な病に罹ると思うか?』


●全く思わない:30%
●少しは思う:65%
●強く思う:5%

30%の人が「全く思わない」との結果。堂島氏も「ガン家系でもないので、全くガンは予想していなかった」と言っている

【堂島二郎氏(仮名・40歳)】
大阪の某広告代理店部長。誕生日にガンを告知され地獄のどん底に。サラリーマン人生20年で敵を作らず、「社畜」に徹していたことがガンに打ち勝つ秘訣になると考えているダジャレ好きリーマン

― 末期ガン宣告された40歳会社員が、死に際に準備しておくこと【1】 ―

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