更新日:2014年05月09日 09:35
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「500円定食」が売りの飲食店、増税後の苦しい実情

4月1日から消費税が8%に上がった。各企業が一斉に値上げを行うなか、価格を上げたくても上げられない人々が存在する。ここで値上げしないとコストが増大して経営が危うくなるが、値上げすれば消費者や取引先は離れてしまう……。まさに「進むも地獄、戻るも地獄」に追い込まれた人々の叫びを聞いた ◆価格転嫁ができない個人経営の飲食店では閉店するところも
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安い銘柄に変えて増税分をしのぐ

 客離れによる危機感から、「据え置き価格」を続ける飲食店は少なくない。都内で500円定食を売りにした定食屋を営む、長谷川聡さん(仮名・46歳)が苦しい実情を語ってくれた。 「定食に付ける小鉢、味噌汁の具材を極力安価にしました。原価率を下げて、品数を減らしたりして、値段はそのままにしています」  500円定食を売りにしてきた分、今さら中途半端に値上げできないそうだ。  庶民の強い味方である、安価な居酒屋も台所事情は苦しい。 「消費増税分の価格を転嫁しなかった代わりに、焼酎の銘柄をワンランク落として、烏龍茶を紙パックの水出しにしたり、回転率を上げるため飲み放題の時間も削りました。ウチの場合、値上げは客足にモロに響くのでこの選択しかありませんでした」(某居酒屋店主)  一方、30年以上続けたラーメン店店主の鈴木宏さん(仮名・68歳)は、この増税がきっかけで店をやめてしまったという。 「夫婦2人で店をやっていたけど、食材価格が年々上がり続けて利益はもともと雀の涙。今回の増税で、ここらが潮時かなと思い、店をたたみました。同じように考えてる年輩の同業者も多いですよ」 ― [消費増税の悪夢]密着ルポ【2】 ―
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