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「再び消費者行動は凍りつく」政治経済学者・植草一秀氏

安倍晋三政権は4月からの消費税増税を断行した。日経新聞などによる「増税の影響は軽微」といったキャンペーンが展開されてきたわけだが、消費者の受け止め方はシビアそのもの。日本経済への影響は本当に「軽微」なのだろうか。 ◆消費税率8%がついに始動!失われた20年を経て消費者行動が再び凍りつく
(政治経済学者 植草一秀氏)
植草一秀氏

植草一秀氏

 消費税の税率が4月から8%に引き上げられた。’97年4月以来、17年ぶりの引き上げだ。社会保障負担の増加も加わり、1年あたりの国民負担増加は9兆円に達する。  日経新聞などは年初来、1面トップで4度も「消費税増税の影響は軽微」の見出しで景気の見通しを示してきたが、本当に信用できる情報なのだろうか。 ◆「TPR」と呼ばれる情報工作活動が存在  ’85年に大蔵省は「TPR」という極秘プロジェクトを始めた。TaxのPRという意味の名称で、情報操作、世論誘導を行うことがその内容だった。  当時、大蔵省にいた私は、TPR事務局の一員として政府の情報工作活動に加担させられたわけだが、活動の中心は政・業・学の有力者3000人への説得工作とマスメディアへの情報工作だった。  今回の消費税増税に対しても、全く同じ工作活動が展開されてきたと思われる。日経新聞の「増税の影響は軽微」という首をひねりたくなるような紙面構成は、TPR活動の健在を示すものだ。  しかし、現実を虚心坦懐に見つめるかぎり、消費税増税の影響は決して軽微でないと思われる。内閣府の景気ウォッチャー調査では、3月の先行き判断DIが34.7と30台に落ち込んだ。’11年3月の東日本大震災以来の低水準だ。  それ以前では100年に一度の金融津波と言われたサブプライム金融危機の際に34.5まで落ち込んだことがあるが、この水準にまで悪化したことになる。  安倍首相は春闘での賃金引き上げ決定を強調するが、労働者の賃金所得動向を正確に示す現金給与総額統計では、’13年の所得が過去最低を更新。今年1月も前年比マイナス、2月が前年比横ばいとなり、労働者の賃金は増えていないことがよくわかる。 ⇒【後編】「安倍政権は同じ過ちを繰り返す」に続く
https://nikkan-spa.jp/630654
【選者】植草一秀氏 シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。近著に『日本経済撃墜-政策逆噴射の恐怖-』(ビジネス社)がある
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