会社に黙って引っ越し、浮かせた定期代9万円を懐へ【みみっちい偽造・偽装を重ねる人々】
―[セコすぎる[偽造・偽装]事件簿]―
カード明細を切り貼り、日付を巧妙に書き換え……みみっちい「偽造・偽装」を重ねるのは、どこぞの地方議員たちのみにあらず。小銭・小利益を得るための、ある意味、熱意とマメさに溢れる人々の手口を探ってみた
◆忙しさを演出してタクシー代をせしめる者も
経費管理が厳しさを増す昨今。
「タクシーは深夜帰宅のみOK。疲れてつい終電前に乗ってしまったら、日時が刻印されている領収書の『お客様控』は、忘れず切り取って提出する」(31歳・男・広告)のは、まだマジメなほう。
「まず、特定の運転手と仲良くなり、客が受け取らなかった領収書をもらう。一方で、週1回は終電ギリギリまで会社にいるようにして、周囲に『あいつは忙しそうだ』と思わせておく。信頼が得られれば、タクシー申請も通りやすい」(29歳・男・商社)と、カラタクシー代のせしめ方を臆面なく語る手練れがいれば、「入社当初は実家のある群馬県から通ってたが、すぐに都内に引っ越し、会社に届け出ず、支給される半年定期の差額9万5000円を懐に入れていた」(29歳・男・建築)という剛の者も。
が、この男性、4年後に同期の告げ口で不正が発覚。使い込んだ額の半額の返還を求められ、閑職に追いやられたとか。そう、悪因悪果――報いはある(と信じたい)。
「休憩もなく、唯一の楽しみは閉店後のビール。客席に運ぶお櫃のご飯を減らし廃棄量を減らしたり、サラダなど規定量から少し減らして原価計算上バレないようにビール分を捻出」(27歳・女・飲食)
「わざとオーダーを間違えて、余った料理をもらって食費を浮かせています。冷めたら出せないものを選ぶのがコツで、揚げ物が最適。お刺し身が食べたいときは、閉店直前にわざとミスオーダー」(19歳・女・飲食店アルバイト)
という彼女たちの“勤労”も、報われますようにと祈るばかりだ。
ほか、「視聴者プレゼントを友人の名前を使って横領。ネットで売るときは、身元がバレないようにIDを使い分ける。安月給なんだから、これくらいの特典がないとやってらんない」(28歳・男・映像)という“言い分”も。
それと比べると、「仕事中のネットサーフィンは、画像を非表示設定にして文字だけにしておくと『調べもの』的な雰囲気が出せる。あと、フォルダを閉じたり開いたりを繰り返して作業中を演出したり。必要もない重いデータをDLして、その画面を出しておくと、ぼーっとしていても仕方ないと思ってもらえる」(45歳・男・IT)という“仕事している”偽装は、なんて言うか、いろいろ平和だ。
イラスト/こまつめ組
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