誰かの悪影響が特定できれば自由に行動できる
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第149回
ある小学校の先生は「自分なりの教育論をまとめた本を書きたい」と考え、その土台になるように、ブログを作ろうとしていました。しかし、いざ始めてみると、なかなか思ったように書き進められずにいました。
五十代の彼には若手のために伝えたい教育技術がたくさんあり、過去に何度も教育研究のサークルで論文を投稿していました。つまり、専門知識や文章力の問題ではないということです。
文章が書けない原因になっていたのは、ある過去の出来事でした。彼は前の学校で上司やモンスターペアレンツにパワハラを受けたことがありました。その時のことが頭に浮かんで、ブログを書こうとした時に、「これを書いていいのだろうか」とブレーキになっていたのです。
誰でも知らず知らずのうちに人物から影響を受けています。そして、知らず知らずのうちだからこそ、その影響から抜け出すのが難しくなります。反対に「この人のことを気にしていたんだ」と思い出すことができれば、その影響から抜け出すことができます。大切なのは何かをしようとする前に、まず思い出すことです。マインドレコーディングはそのためにあります。
彼の場合、ポイントになるのは「これを書いていいのか」です。書きたい内容は決まっているのに、書いていいのか迷ってブレーキがかかっています。たとえるならアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態です。そして、このアクセルとブレーキの両方に人物の影響があります。
彼が書こうとしているのは教育に関する内容なので、その行動は「自分と同じ教師のため」になります。しかし、「これを書いてもいいのか」と考えて書きあぐねている時は、過去にハラスメントを受けた上司やモンスターペアレンツのことが頭に浮かんでいます。「誰のために何かをするのか?」が絞りきれていないから、「書きたいのに書けない」という矛盾が生まれてしまっているのです。
自分の足を引っ張る人物は現在の人間関係にいるとは限りません。何年も前に言われた言葉がいまだに心に刺さっていて、それが影響していることもよくあります。人間は「また同じことが起きて傷つくかもしれない」という想像によって萎縮してしまうのです。
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
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